一枚の名画をのぞき込んでみると……
✓見えてきたのは「E.T.」
今にも触れそうで触れないこの指を見ただけで、誰の何という絵画作品か、多くの人がピンとくるだろう。それほどにも有名なシーンだからこそ、さまざまな映画にも説明抜きで取り上げられてきたのだ。少年とエイリアンが大きな満月を背景に指を触れあう「E.T.」（S・スピルバーグ監督）、近年では「ルーシー」（L・ベッソン監督）もそうだ。図らずも万能を手に入れてしまった女性と、人類の祖先となる猿人ルーシーの、印象的な指と指……。
生命を与える
『アダムの創造』
1512年、フレスコ画、280×570cm、システィーナ礼拝堂 / 写真提供 Alamy Stock Photo/amanaimages
若き日、初めてローマのシスティーナ礼拝堂の天井画を見上げた時、あやうく後ろにひっくり返りそうになった。周りの観光客の中にも、私と同じようにふらつく人がいた。あれは酩酊だったのか。
20メートルの高さの半円の天井には創世記の有名なエピソードやダビデとゴリアテの戦い、預言者や巫女たちなど全47場面。これをミケランジェロがほぼ1人で描きあげたのだ（さすがに4年もかかったが）。
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source : 文藝春秋 2024年10月号
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