一枚の名画をのぞき込んでみると……
✓見えてきたのは「ハイヒール」
おしゃれなハイヒールと少しだけ見えている美脚から、現代人はつい女性のものと勘違いしてしまうが、これは「王の中の王」「太陽王」と呼ばれたルイ14世の御御足だ。男性ファッションが女性ファッションを凌駕していた時代の何たるかがよくわかる。とはいえ、19世紀になるまで靴は左右全く同じ作りだったから、王であっても自分の足にフィットした靴を履くことはできなかった。靴擦れがひどかったのではないかしらん。
皆の者、控えおろう!
『ルイ14世の肖像』
1701年、油彩、277×194cm、ルーヴル美術館 / 写真提供 alamy/amanaimages
フランスに「偉大なる世紀」をもたらし、絢爛豪華なヴェルサイユ宮殿を建設した太陽王ルイ14世は、この時63歳。若いころから得意のバレエで鍛えた脚線美をここぞとばかり見せつけ、目一杯ふんぞり返っている。外見が大事、自己顕示が大事、相手を威圧するのが大事、という時代の、まさしく代表格であった。
王がまとっているのは大礼服(戴冠式用の特別な礼服)で、実に重たげなマントの裏地は最高級のアーミン(白テンの毛皮)。表はブルーの地に金糸で百合の意匠が刺繍されている。言わずと知れたフランス王家の紋章である。
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source : 文藝春秋 2024年11月号