秋篠宮家のお世話をする職員51人の「皇嗣職」を新設
さらに、お代替わりを契機に秋篠宮さまが皇嗣となられると、秋篠宮家のお世話をするために職員51人の皇嗣職が新設される。これは皇太子ご一家のお世話をしている東宮職の50数人とほぼ肩を並べる規模だ。秋篠宮家をお世話する職員の数は、悠仁さまのご誕生当時は10人余りだった。将来天皇となる悠仁さまのご誕生以降は随時、増員が行われたが、それでも20人余りに過ぎなかった。それが、秋篠宮さまが皇嗣となられることで皇太子家と同等の待遇となるのだ。
人数だけではなく、東宮職トップと同様に皇嗣職のトップには「大夫」の呼称が与えられ、東宮侍医長以下専属の侍医がいる東宮職のように、皇嗣職侍医長以下の侍医がつく。秋篠宮家をはじめとする宮家は専属の侍医を持たず、民間にかかりつけの医師がいるのが通常だ。要するに事実上、秋篠宮家は「宮家」ではなくなるのだ。
また、ご自宅の規模も東宮御所と同等となる。秋篠宮邸は延べ床面積約1600平方メートルで、旧秩父宮邸を改修して1997年から使用していたが、皇嗣としての活動が広がることから、約33億円をかけて大規模改修される。工事の間はご一家で赤坂御用地内に約9億8千万円をかけて新設された「御仮寓所」で過ごされるが、この御仮寓所は延べ床面積約1378平方メートル。ご一家が改修後の宮邸に戻った後は、皇嗣職の事務所と収蔵庫として使用される。さらに、宮邸の北側にある赤坂東邸と宮邸を渡り廊下で結び、ここも住居として利用するという。つまり、「皇嗣御所」とでも呼ぶべき秋篠宮邸は、私的スペース、公的スペース、事務スペースを含めて最終的には延べ床面積約5500平方メートルにまで拡張されるのだ。
これは東宮御所の5460平方メートルとほぼ同じだ。2008年に東宮御所を全面改修した際は、皇太子妃雅子さまの公務がご病気のためにままならず、最悪の状況だったこともあり、約10億円の改修費に「贅沢だ」などといった批判の声も一部では聞かれた。だが、秋篠宮邸は33億円の改修費と事務スペースになる御仮寓所の約9億8千万円と合わせて約43億円もの資金が投じられるのだ。
秋篠宮さまは昨年11月の誕生日会見で、大嘗祭について「身の丈にあった儀式に」すべきとの考えを示された。これは国民の負担を考慮して大嘗祭の経費や天皇陵の規模を縮小するという天皇陛下のお考えに追随するものとみられるが、宮邸の大規模拡張のことを考えると、やや疑問を感じる向きもあるだろう。秋篠宮さまは、お代替わり後の呼称について、歴史上は息子ではなくても「立太子」が行われた例があることから「皇太子」とする案があったものの、自身が皇太子として育てられていないことを理由に皇太子の称号に難色を示されたと伝えられる。その結果、「皇嗣」に落ち着いたわけだ。だが、事実上の「皇太子」の格である「皇嗣」とは何のためにあるのか、という疑問が国民の間に持ち上がるのも無理からぬことだろう。
(「週刊文春デジタル」オリジナル記事)