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ちなみに結果はといえば……

 そう思ったかどうかはわからないが、男の買った馬券はレースに出走する馬全ての単勝(1着になると的中)馬券。馬券右下部にある発券番号が30184601…0184602………0184605と並んでいるものの、0184604の馬券のみ採取できなかったことから、一連の馬券群は1人の人物が連続して購入した馬券であること、そして発券番号0184604の馬券は捨てられていない、つまり的中しているということがわかる。この必死で的中を掴み取る姿が味わい深い。

この日のレース結果(JRAサイトより)

 ちなみに、結果はといえば360円の払い戻しで、的中していながらも-1,440円という悲しいものに。ハナ差2着に敗れてしまった9番人気トモジャクアルトが1着に入線していれば、払い戻しは4,260円。馬券購入者のツキのなさが垣間見える。

ギャンブルにおける敗者のドラマが詰まっている

 このように、ハズレ馬券には競馬というギャンブルにおける敗者のドラマが詰まっている。勝ち馬を予想する競馬というギャンブルの本質の周縁で敗れていった者が紡ぐドラマに私はグッときてしまうのだ。そう考えていたときに平成の競馬史を彩り、時代に名を残した一頭の馬が頭をよぎった。格差社会が広がり、「勝ち組」「負け組」という言葉が世間を賑わせるほんの少し前に登場したハルウララのことだ。

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 ハルウララは高知競馬場に所属する馬で、連敗を続けたことが話題となり、全国的な人気・知名度を獲得した。全盛期には、ハルウララの単勝馬券を「当たらないから交通安全のお守りになる」という理由で買う人も現れた。

 100連敗を記録したレースが行われた日は、ハルウララの単勝馬券売上額が高知競馬場史上最高額(当時)となる301万円にのぼり、106戦目のレースでは中央競馬のトップ騎手・武豊が騎乗して出走する事態にまで人気は白熱した。日本のトップジョッキーが連敗続きの馬に騎乗するというドラマのような運命に注目が集まり、当日は入場者数・1レースの馬券売上額・1日の総馬券売上額の高知競馬場史上最高記録(いずれも当時)を更新し、ハルウララの単勝馬券だけで1億2175万円もの売り上げを記録したという。