海外のビジネスパーソンにとって、経営理論は必須スキル。翻って日本では、理論を「机上の空論」扱いし、現場の経験と精神論を重視する風潮が根強い。本書はそこに危機感を抱く著者が、『競争の戦略』『影響力の武器』など、必読の理論書50冊を選び、個々のエッセンスを取り出した1冊だ。
「本を作る上で特に気を付けたのは、ただのブックレビューには絶対しないことです。必ず身近な企業の事例に引きつけたり、実際に仕事でどう活用するかにまで踏み込んだり、著者ならではの視点が入った紹介にするなど『使える本』を目指しました」(担当編集者の谷内博一さん)
たとえば、ポーターの『競争戦略論Ⅰ』の解説では、あえて全国展開せず、北海道での経営に特化した戦略でコンビニ業界の道内シェア1位を誇るセイコーマートの事例が紹介されるなど、様々な工夫で難解な専門書へのハードルを下げている。
「週末に売れています。しかもショッピングセンターの中や住宅街の近くにあるビジネス書に強くないチェーン系書店で。これまでMBAに興味がなく、今の仕事に関わる知識が身につけば十分と考えてきた方にも、人生100年時代、転職やセカンドキャリアを見越した普遍的なビジネススキルへの欲求が高まっている印象を受けます」(谷内さん)
来年刊行を目指して、第2弾も準備中とのこと。
2019年4月発売。初版7500部。現在9刷6万4500部