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伝説の特撮番組「ウルトラファイト」は何がスゴイのか

唐沢なをき×唐沢よしこ×岩佐陽一 鼎談

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唐沢 当時の子供はマジで熱狂したと思う。「みんな仲良く喧嘩しな」の世界で、馬鹿にしたものじゃないな、と年を経るごとに考えています。

よしこ 「ウルトラファイト」は、嫌われてるってことはないけど、あくまで特撮番組の「オマケ」「色物」的な扱いをされがちで。特撮番組として語られない時期が長かったですね。

唐沢  「ウルトラマン」も「ウルトラセブン」も終わった、空白の時期に放送してましたから。一番大事なウルトラ作品は「ウルトラファイト」だって人は結構いると思いますよ。

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――マンガ、描き込みがすごいですよね。電子だと良く伝わってきます。

電子復刻した 『ウルトラファイト番外地』。「このマンガは我ながら頑張りました」と話す唐沢さん。©文藝春秋

唐沢 マンガ、大変でしたね。結構頑張りました。

よしこ 番組の再現度は高いと思います。新しく映像でファイトを作ろうとすると、他の方がナレーションをやったりするからイメージが変わってしまう。でもマンガだと、観ていた人はあの声と口調に脳内変換して読んでくれるから、より近くなる。

唐沢 戦いのシーンも、マンガ的な表現でカメラを動かすことをしないで、ずっとアングルを固定するなど、工夫していました。効果線も入れてないですね。さすがに怪獣たちがくるくる回ってるところは少し線を描いたけど……。放送当時の雰囲気を含めて、番組を再現したくて、1コマ1コマを切り取った表現を意識しました。

よしこ たしかに週刊誌からネタ拾うこともありましたね。セブンがニートになる回とか。

唐沢 実は編集さんから「単行本2巻、3巻分も描いてください」といわれたら描くつもりだったんです。新作も描きたいなあ、なんて。

電子復刻した『ウルトラファイト番外地』を読む唐沢さん。© 文藝春秋

唐沢なをき(からさわ・なをき)
1961年北海道生まれ。ギャグ漫画家。1985年『無敵刑事(デカ)』でデビュー。 主な代表作に『電脳なをさん』『まんが極道』『俺とねこにゃん』『カスミ伝』『ヌイグルメン!』など。 2012年10月より、読売新聞夕刊にて4コママンガ『オフィス ケン太』を連載開始。

唐沢よしこ(からさわ・よしこ)
1968年東京都生まれ。フリーライター。現在は夫のなをきのブレーンも務める。著書に『オトナでよかった!』『けんこう仮面』(唐沢なをき共著)、『快描教室プラス』(菅野博士共著)など。

岩佐陽一(いわさ・よういち)
1967年東京都生まれ。フリーライター、編集者、プロデューサー。株式会社バッドテイスト代表取締役。懐かしもの系全般のライターとして活動する傍らテレビ番組や映画等を企画・プロデュース。著書に『70年代カルトTV図鑑』(文藝春秋)他多数。企画・製作テレビドラマは『帰ってきた 行け! あひるお姉さん』(TeNY)など。

『ウルトラファイト番外地』

唐沢なをき(著), 円谷プロ(監修)

文藝春秋

2019年11月29日 発売

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