昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2020/01/22

source : 週刊文春デジタル

genre : ニュース, 社会, 政治, 国際, サイエンス, テクノロジー, 歴史

兵士の脳にチップを埋め込み意思疎通

 とはいえ、戦略家たちは今後の技術的ブレークスルーを見据えて将来のビジョンを描き始めている。

 中でも最大の注目株は、人工知能(AI)だ。米軍はすでに情報の選別や判定など指揮官の意思決定を補佐するためにAIを導入し始めており、ロシア軍でも戦闘機にAIを積んで咄嗟の判断を補助させる試みが始まった。さらに今後は、AIがその場で状況を判断し、攻撃を行う自律型致死兵器システム(LAWS)が登場することになろう。これまでのような遠隔操縦兵器ではない、本当の無人兵器である。

 戦場の将来を変えると目される技術はこれにとどまらない。兵士と兵器、あるいは兵士同士の脳にチップを埋め込み、それぞれを接続して高速で意思疎通を行えるようにするブレイン・インターフェース技術や、兵士の肉体的能力を著しく高める身体改造技術、敵の兵器やその燃料を腐食させる非致死性の化学兵器。レーザーやビームなどの指向性エネルギー兵器や、マッハ5以上の速度で飛行してミサイル防衛システムを回避する極超音速滑空兵器。さらには従来型コンピュータをはるかに凌ぐ計算速度を誇る量子コンピュータなど、様々な新技術が戦場の光景を大きく変えると予想されている。

 そうした新技術が導入された未来の戦場を考えてみよう。仮に主人公を兵士Aとする。Aの脳にはチップが埋め込まれ、一緒に戦う戦友やはるか前方の戦闘ロボットと思考を直接リンクさせて戦う。Aは、戦友の目やロボットのセンサーに映ったものを、まるで自分の目に映るもののように「見る」ことができる。また、Aの目に映った光景は衛星通信回線を介してすぐに、本土の上級司令部に転送されていくだろう。

中国の開発している彩虹5(CH-5)無人機 ©共同通信社

 一方、敵側の量子コンピュータに搭載されたAIは、戦場全体におけるわずかな電磁波環境の変化を感知してAの部隊を発見し、スウォーム化した数百機のマイクロ無人機を差し向けて襲撃させる。Aたちはこれに対してレーザー迎撃システムで秒間数百発にも及ぶ光の矢を浴びせかけるが、一部の無人機は突破し、顔認証技術でAのいる部隊の兵士たちを狙い撃ちにしていく……。

 以上はあくまでも筆者の予想する将来戦の一例である。まるでSFのように思われるかも知れない。だが、将来の戦闘が従来イメージされているようなものから大きく様変わりすることはほぼ確実であろう。