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 確かにワクチンがない現状では、咳エチケット(咳やくしゃみをするときに、マスクやハンカチ、袖で口や鼻を抑えること)や、こまめな手洗い、外出後のうがいくらいしか、感染拡大を防ぐのに、有効な手段はないかもしれません。加えるとすれば、コロナウイルスやインフルエンザウイルスはアルコールに弱いので、家にウイルスを持ち込まないよう外出から帰ったらすぐ、手をアルコールで消毒することくらいでしょう。

 ただ、私は他にも予防対策として個々人でできることがあると思うのです。それはウイルスに対する「抵抗力」をできるだけつけて、負けない体をつくっておくことです。

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そもそも「コロナウイルス」とは何なのか?

 実は、コロナウイルスには今回の新型だけでなく、様々なタイプがあります。SARSやMERSもコロナウイルスなのですが、ヒトに日常的に感染するのはそれらとは別の4種類で、風邪のうちの10〜15%(流行期は35%)が、これら4種類によって引き起こされるのだそうです(国立感染症研究所「コロナウイルスとは」)。

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 もちろん、重い肺炎を引き起こす今回の新型やSARS、MERSと、通常の風邪を引き起こす4種類のウイルスをまったく同じには扱えません。しかし、同じコロナウイルスなのですから、通常の風邪予防が新型の予防に通じる可能性もゼロとは言えないはずです。

封鎖された武漢市内のスーパーマーケット ©AFLO

 では、どうすればいいのでしょうか。調べてみるとこんな報告があるのを見つけました。神奈川県立保健福祉大学大学院の研究グループが、埼玉県在住の健康な成人約4万人を対象に、過去1ヵ月の間の自覚症状(頭痛、胃痛、下痢など)の有無と風邪を引きやすいかどうかを自己申告でたずね、それらと血液検査項目や日常生活習慣との関連を調べたのだそうです(第52回「日本成人病(生活習慣病)学会学術集会」2018年1月13日〜14日)。

風邪を引きやすい人の特徴

 それによると、日常生活習慣で風邪を引きやすい人の割合が高いのは、「BMI(肥満度を表す体格指数)が23.0~24.0以外の人(標準は18.5~25未満)」、「睡眠時間が7時間に対し5時間未満の人」、「飲酒習慣が飲まないに対して時々飲む人(月1~3回)」、「運動習慣が月1~2回に対して、ほとんどしない人」という結果でした。

 さらに食事摂取習慣別に見ると、「バランスのよい食事をしている」に比べて「偏食」のほうが風邪を引きやすい人の割合が高く、食事回数では「1日3回規則正しく食べる」に比べて「欠食あり」「不規則」で高かったそうです(Medical Tribune「かぜをひきやすい人は食事が不規則かつ偏食 地域住民4万人を対象に横断研究」2018年2月5日)。