新型コロナウイルスの感染が国内で広がっている。 

 国内で確認された感染者は97名(日本政府が手配した中国・武漢からのチャーター機で帰国したうち14名と、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」乗客乗員のうち634名を加えると、745人。2月22日現在)。 

「感染拡大を前提に対策すべき」と話すのは、日本感染症学会に所属しており、感染症の治療に8年携わってきた関西在住の医師・ありさん。日々患者に向き合うありさんに、個人としてできる新型コロナウイルスの対策を聞いた。 

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※記事は2月22日(土)時点の情報をもとにしています。

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今目指すべきは、「リスクが高い人を守ること」

――今、日本国内での新型コロナウイルスの感染は、どのようなフェーズにあると思いますか。 

ありさん(以下、あり)感染蔓延期の直前である、と認識しています。つまり、一般にも広く流行する直前ということです。ウイルスを国内に入れないよう防ぐ努力をする「水際作戦」はもう効果がないフェーズではないでしょうか。 

 今の段階で目指すべきことは、基礎疾患のある人など、新型コロナウイルスに感染し、発症してしまうと重症化するリスクが高い人を守ることだと思います。 

――新型コロナウイルス感染症は、発症しても軽症のまま治癒するケースと、重症化するケースがあると聞いています。それぞれについて教えて下さい。 

あり まず、軽症の場合ですが、2週間以内の潜伏期間を経て、発熱やせき、くしゃみなど風邪のような症状が続き、その後自然治癒します。 

 通常の風邪ですと症状は3、4日でおさまりますが、新型コロナウイルス感染症の場合、症状が約1週間続きます。ただし症状が軽ければ、特別な治療は必要ありません。 

――では、軽症の人の場合、風邪だと思い込み、自然に治ったので、最後まで新型コロナウイルスの感染に気づかない……というようなケースもあり得るのでしょうか。 

あり すでにそういったケースはあると思いますし、これから増えていくと思います。まだはっきりとは分かっていませんが、中には感染しても風邪のような症状すらない、無症状の人もいるのではないかと言われています。 

――重症化するケースについても教えてください。 

あり 重症化するケースでは、息をするのが苦しいなど、一般的な風邪とは異なる症状が出ます。1週間経っても、自然に良くなりません。 

 強調したいのは、重症化するケースは少数であること。ただし、糖尿病、心不全、呼吸器疾患などの基礎疾患がある方や、透析を受けている方、免疫機能が弱い方たちは、重症化するリスクが高いです。一般的に、高齢者の方は基礎疾患を持っていることが多いので、重症化のリスクが高い方が多いでしょう。