“コロナ後”に確実に落ちこぼれる人
これからの10年間ほどで、おそらく会社での働き方は大きく変わりそうだ。これまでは大学をでたら「就職」をすることがあたりまえだった。そして日本人の多くが「会社」という組織にまずは入門することが前提だった。つまり良い会社、安定した会社に入ることが「仕事をする」ことと同義だった。
しかしコロナ後は、個人が複数の会社と業務委託契約を締結して働く。つまり自らの能力を売る、職能で働く時代に変わっていくことを意味している。そしてそうした能力を磨いてこなかった、あるいは能力がなかった人は社会から確実に落ちこぼれていく。つまり、会社という安寧の仕事場は確保されなくなるのだ。
安倍政権では平成30年、働き方改革をスローガンとして掲げた。この政権は毎年のようにスローガンを掲げてきたが、今や猛威を振るうコロナ禍への対応に振り回され、いつのまにか働き方改革の旗印も他のスローガンと同じようにお蔵入りする気配が濃厚だ。
だが実は働き方はスローガンで変わるようなものではなく、コロナのような圧倒的な社会的圧力を通して一気に変わっていくものなのだ。
世界は「クリエイティブワーカーの時代」に突入する
人は原始の時代から働いて生きてきた。狩猟時代は弓矢を操るのが巧みな働き手が中心だった。農耕時代には作物を育てる人が働き手の中心だった。そして産業革命により働き手の中心は工場労働者へ、そして戦後は事務系ワーカーが働き手の主力を形成してきた。
これからはおそらく、個々人の能力をパソコンなどの情報通信を操りながら売り込む、クリエイティブワーカーの時代に移行する。
その時代はどうやら現実として確実に到来することになりそうだ。そうなれば世の中から通勤はなくなるだろう。通勤がなければ大型のオフィスも存在価値を失うだろう。人々が住む場所も変わるだろう。
働き方改革どころではない、私たちは新たなる時代への入り口に立っているのだ。