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テレワークで試される“本当の能力” アフターコロナで「落ちこぼれる会社員」が分かってきた

“全国テレワークお試しキャンペーン”が暴き出す不都合な真実

2020/05/05
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「社員を囲い込むコスト」に会社側も気づき始めた

 答えは否である。というのはテレワークで「かなりの業務ができる」ということが判明したという事実は、日本人のライフスタイルを大きく変えるきっかけになりそうなのだ。

 会社にとって社員を囲い込むという行為は多大なコストを要する。従業員の通勤代について、多くの企業がその実費を負担している。そして会社の門をくぐってくる社員たちに対して会社は、働く場であるオフィススペースを提供している。

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 オフィスは東京都内であれば、平均でも1坪あたり22,000円程度の負担を余儀なくされる。丸の内や大手町なら50,000円を超える。どちらのコストも会社にとってはありがたくない固定費だ。この経費に比べれば、社員一人一人にパソコンを支給し、通信コストのみを負担するほうがはるかに安上がりというものだ。

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上司や部下に煩わされることもない

 社員が集まってこなければ、社員同士の飲み会やら懇親会やら、福利厚生費用の支出も抑えられる。通勤途上で発生するかもしれない事故などの労災のリスクも軽減されるだろう。

 都心の本社にはヘッドクォーター部分のみを残す。経営層も一つのフロアに全員が集合しているのは、またコロナのような感染症が発生すると大きなリスクになるので東京や大阪、名古屋などに分散し、経営会議もなあんだ、web会議でやればよい。

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 社員のほうにも気づきがあったはずだ。あれ? 俺はパソコンだけで会社とつながっている。自分の能力は変な上司や言うことを聞かない部下なんかに時間を使わなくても、こうやってちゃんとアウトプットを出すことによって評価されるんだ。ということは、自分のこの能力を何も一つの会社だけに提供しなくてもよいのではないか。複数の会社の業務を直接受注して自宅で仕事すれば、食っていける。一つの会社に滅私奉公しなくても自分で生きていけるんだ……。