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 すなわち、「サラダ油などの植物油で揚げたコロッケは、天ぷら同様、そばつゆによく馴染んでコロッケの甘みやうまさを上手に引き出している」ということである。

 一般に、精肉店ではラードを使ってコロッケを揚げている。ソースをつけて食べるあつあつのコロッケは格別である。ところが、精肉店でつくったコロッケはそばには合わない。ラードがそばつゆの味とマッチしないのである。老舗・町そば・手打ち系そば屋で「コロッケそば」が普及しない理由はこのラードが原因ではないかと思う。唯一鴨肉と鶏肉(かしわ肉)の油だけは許容されているというのは実に面白い。立ち食いそばでは植物油を使っているのでコロッケが受け入れられたのだと推測する。

(3)でもなぜ「カレーコロッケ」?

 ところで「コロッケそば」には不思議なことがある。前出の大阪の「潮屋梅田店」、「箱根そば」もカレー味のコロッケが使われている。「そば処かめや新橋店」ではカレー味の「コロッケそば」を販売して人気になっている。なぜカレー味なのだろうか。

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そば処かめや新橋店
かめやのコロッケそばも実はカレー味である。

(株)小田急レストランシステムの長谷川真也さんにたずねてみると面白い答えが返ってきた。

「今で言う“味変”ですね。普通のコロッケでもおいしいと思いますが、味の変化が乏しいため、カレー味にしたという説があります。あくまでも説ですが……(笑)。はじめは普通に味わっていただき、途中からコロッケを崩すことで、カレーそばのような味に変化するのが人気のようです。コロッケを別皿にのせて、ソースで召し上がるお客様もいらっしゃいますよ。食べ方は十人十色、だから食は楽しいのですかね」という。なるほど、他店と差別化しようとして、たまたま偶然にカレー味になったということなのだろう。

(4)自家製コロッケにこだわる店“3選”は?

 こんなことを書いていたら「コロッケそば」が無性に食べたくなってきた。上記の人気店以外でも、なんと自家製のコロッケにこだわる店が存在している。3店紹介しよう。