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データが示す無視できない現実

 さらにもう1つ、次の図はマイクロソフトではなく、あるクライアント企業の実態を調査したデータです。「直接対話の『面談』依存率」と「対話人数」および「対話リードタイム」について調べたものです。

図 コミュニケーションの量と速度

 このデータを見ると、「直接対話」の依存率が62%から53%に減り、対話人数が13・2%アップしています。単純に「コミュニケーションがリモートへ移行した結果、対話する人数が増えた」わけです。誰もがなんとなくは理解している話であっても、はっきりデータで示してみると、無視できない現実になります。

 相手が社内であれ、社外であれ、リモートの方が参加しやすいのは明らかです。場所の制約を受けないので、自宅にいようが、海外にいようが、まったく関係ありません。

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 実際、私も浜松の顧問先のオフィスにいながら、スキマ時間を利用して、東京のメディアからの取材を受けたり、他県のクライアントのミーティングに参加したりしています。リモートでなければ、実現し得ません。

 日本マイクロソフトの人たちに話を聞いても、忙しいインフルエンサーや専門家の人に「ちょっとでもいいから会議に参加して欲しい場面」はよくあるそうです。リモートであれば、参加のハードルが下がります。この簡便さこそ、コラボレーションのカギであり、コラボレーションの促進は、今やほとんどの企業、業界における共通の勝ちパターンとも言えるでしょう。

 新型コロナウィルスの問題で「リモートワークが広がった」なんてレベルではなく、企業として、組織として、絶対に活用すべきリソースです。

©iStock.com

コラボの促進は「インターナルブランディング」にも寄与する

 リモート会議の活用によって、さまざまな人が関わってくれる。

 これは想像以上に大きな価値をもたらします。活発で、多様なコラボレーションができれば、イノベーションが起きやすく、まったく新しい視点でビジネスが展開できたり、問題解決ができる。そのほか「これだけ多くの人が関わっている」、あるいは「こんなハイレベルの人ともコラボできている」などの感覚は、社員のモチベーションアップや企業に対する信頼感、帰属意識にも影響します。

 コラボレーションのハードルが低ければ、何か問題が起こったとき「すぐに誰かに助けてもらえる」「一緒に問題解決していく」などの感覚が自然になり、1人で抱え込まなくてもよくなります。精神衛生上も健全で、安心できる状態です。また、社外の人を含め、多くのスペシャリストと関わる機会があると、それだけ成長欲求を満たすことができます。

 社員に対する組織づけや方向づけ、すなわちインターナルブランディングの観点から言っても、コラボレーションの促進は必須です。リモートワークの活用は、その大きな後押しになるのです。

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