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更年期と痔に関係はある?

 さて、お尻まわりと言えば、痔の存在も女性を悩ませる。更年期や閉経は、痔には直接関係はないそうだが、老化とともにお尻の筋肉が緩んでくると、痔は悪化しやすくなるからだ。

 痔には、主としていぼ痔(痔核)、切れ痔(裂肛)、痔ろうの三つがある。男女ともにもっとも多いのはいぼ痔で、肛門の外にできる「外痔核」と、直腸内にできる「内痔核」とに分けられる。内痔核は、肛門の内側にあるときには痛みもないが、大きくなってくると残便感や出血、違和感などが起こり、肛門の外に脱出してくる。

「内痔核は、あってはいけないものでもないのです。肛門は肛門括約筋によって締められていますが、筋肉だけだと隙間ができます。その隙間を埋めてくれるのが痔で、肛門を締めるクッションの役割にもなっています」

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 と野澤氏はいう。痔を穏やかなクッションのままにしておくためには、便秘を防ぎ、いきまずに排便することが大切だ。

 女性は、ホルモンバランスの影響で腸の動きが悪くなり、便秘になりやすい。食物繊維の豊富な根菜やイモ類、海藻類、果物を十分にとること。また、ヨーグルトなど乳酸菌とオリゴ糖を含む食品(他にはちみつ、タマネギなど)をよくとって善玉菌を増やし、腸内細菌を整えよう。

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 理想的な排便とは、便意を感じてトイレに行き、便座に座って軽くいきむだけで、練り歯磨き状の硬さの便がすっと出るというもの。すべての行程が、2~3分以内で終了するのがベターだ。

「5~10分も座っているのは、それだけで痔の悪化要因です。トイレを休憩場所にせず、スマホもゲームも本も持って行かないでください」(野澤氏)

 なお、痔と間違われやすいものに「皮垂:スキンタグ」がある。肛門まわりにできた皮膚の盛り上がりで、特に女性の腟と肛門の間にあることが多いとされる。切れ痔のあとや出産後にできやすいという説もあるが、野澤氏はそうともいえないという。

 実は、皮垂は『子どもの病気ホームケアガイド第4版』(日本小児科外科学会編著、医歯薬出版)にも赤ちゃんのお尻にあるものとして取り上げられ、ここでも「外科的な手術などは必要ない」とされている。

「そんなことより重大なのは、痔による出血と思い込み、大腸がんを見逃してしまう人が多いことです」と野澤氏はいう。