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 骨盤底筋トレーニング(体操)にも触れておこう。これは、子宮や泌尿器、大腸など骨盤内の臓器を支えている筋肉を鍛えるトレーニングだ。

 腟や肛門の筋肉を10秒ほど引き締めたら、完全に力を抜いて15秒リラックス。こうして「締める、緩める」を繰り返す。

 関口氏がすすめる「ピフィラテス」では、「ベッドの上で仰向けに寝て膝を立て腰を高く上げるブリッジ」や「立位では、両足を開いて膝を曲げるスクワット、左右の足を前後に開いて膝を曲げるランジ」などのエクササイズと呼吸法をとりいれている。

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 他にもさまざまな方法があり、「くしゃみでもれることがある」というような軽度な尿もれに有効なことは、古くから報告されている。

 ただし、膀胱の神経に異常がある場合には、この方法は適さない。巷では、「排尿中に尿を途中で止める」という方法が紹介されることがあるが、これも危険。中田氏は「いったん止めた排尿を再開する時に腹圧をかけることになり、かえって腹圧性尿失禁がひどくなる恐れがあるので絶対にしないでほしい」といっている。

突然、神経がやられてるかのような痛みが

 GSMの痛み・かゆみ・尿もれ感は、いつの間にか進行しやすいのも特徴だ。

「腟まわりの炎症は、ある程度悪くなると、まるで、神経がやられているのではないかと思うほどのひどい違和感が襲ってきます。ところが、それより前の段階では、なかなか気づくことができないのです」と中田氏は言う。

「ちょっとムズムズするだけだから」とトイレの温水洗浄で刺激をしたり、掻いてしまう。とりあえずドラッグストアで買った軟膏でしのいでみる。こうしたその場しのぎの対処を続けているうちに、悪くなってしまうのだ。

 関口氏は、このちょっとした我慢が「慢性骨盤痛症候群」の原因になるとする。

「ある1箇所にずっとかゆみや痛みを感じ続けると、脳内の視床下部に知覚の変調が起き、セロトニンやアドレナリンの分泌異常を起こして炎症もないのに痛みを感じるようになります。広い意味での『慢性疼痛症』というものです。腟の痛みから骨盤全体へと広がり、さらに全身の痛みやだるさにもなり、ひどくなると線維筋痛症や重度のうつ病になることもあるのです」と警告する。