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 医療的には、腟の痛みや炎症、性交痛は、「萎縮性腟炎」として早期に手当てすればHRT(ホルモン補充療法)がよく効くとされている。女性ホルモンのエストロゲンを補充するので皮下のコラーゲンが増え、腟や外陰部に厚みと潤いが戻ってくるからだ。中でも、GSMには局所投与(腟剤)のHRTが効果的とされている。

 また、尿もれや尿意切迫感には、抗コリン薬やβ3刺激薬などの過活動膀胱の薬も処方されている。最近出てきたのが、腟内へのレーザー療法で、細いレーザー光を腟内にあて、腟壁の修復を促すというものだ。

「2回~3回の照射で、GSM症状改善効果が期待されている」(関口氏)という一方で、「海外では施術上のトラブルも報告されている。婦人科や女性泌尿器科など、婦人科診察(内診)の実績がある医療機関で行うことが重要」(中田氏)という声もある。

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 しかし、こうした治療を受けても、なかなか症状がパッとしないことがある。中田氏は、GSMにはエストロゲン欠乏など内分泌の変化に加え、日頃のケアの悪さが炎症を起こすもとになるとみている。

 たとえば、創刊号でも紹介したがトイレでの排尿のしかただ。前述したように、外陰部が下がってくると、排出された尿が外に出にくくなり、腟に入り込んでしまう。

 そうして排尿時に腟に入った尿があとで出てくると、あたかも尿が漏れているかのように感じることがある。このため下着が濡れることもあるし、「自分が尿臭い」という憂うつの原因になっている人もいるだろう。

 また、水洗トイレのトイレットペーパーは、排水管のつまりを防ぐために水に浸すとほぐれやすいことが優先されてきた。ところが、そういう紙でお尻をごしごし拭くと、腟や肛門まわりに紙の繊維の断片がはりついて残ってしまう。

「腟に入った尿やペーパー屑にしみこんだ汚れが刺激となり、皮膚が荒れてかゆみや乾燥感を引き起こすのです」(中田氏)

©iStock.com

 中田氏は、洋式トイレでは足を大きく広げて、尿がしっかり前に飛ぶように出して、と患者さんには指導している。また、「エンボス加工」などお尻に張り付きにくいタイプのトイレットペーパーを使うこと。お尻を「拭く」というより、「押しあてる」か「タップ」して尿を吸い取るのが正しい方法だという。

「外陰部は石けんで洗わない」といわれて育ってきた人も多いと思うが、中田氏は「外陰部には皮脂を分泌するアポクリン腺があるので、泡の立つソープを使って指先で洗ったほうがいい」という。デリケートゾーン専用洗浄剤でなくても、弱酸性の赤ちゃん用全身石けんなど、無香料で沁みないと感じたものを使えばよいそうだ。腟の中までは洗わなくていい。