ざっと見た限り、政治的なものはないし、その手の会話も聞こえない。ようするに、ここは、社交的で明るいひとびとが集う空間なのである。インスタグラムよりツイッターのフォロワーのほうが多い人間は、「陰キャ」アラートが鳴って、入場を拒否されかねない。なお筆者のツイッターフォロワーは約1万9000、インスタのそれは119である。
関門海峡と門司港を一望できる“映える部屋”
そんなわけで、鍵を受け取り、そそくさと5階にあるデラックスルームに駆け込むと、そこがまた圧巻だった。海側に面した部分がほぼすべてガラス張り。
つまるところ、タワマンの角部屋みたいなのだが、そこから関門海峡と、そのさきの北九州市の門司港を一望できるのだ。そして、汽笛も高らかに、つぎつぎに大型貨物船が通り過ぎてゆく。これはかなり迫力がある。
もともと築40年以上の元割烹旅館だそうだが、フルリノベーションされているため、部屋は古さを感じさせない。陽光が燦々と入り、晴れていると、電気も不要。しかもかなり広い。公式サイトによると、リビングダイニングで23.7畳、ベッドルームで11.1畳もあるらしい。フローリング、建具、照明器具は山口県産なのだとか。
インスタグラマーやユーチューバーが、共同生活をしながら、せっせと動画を作っているような部屋。そんな印象を抱いた。そんなものが実際にあるのか知らないが。
ネタを探しに館内探索すると……
おいおい、神田のUZUとぜんぜん違うじゃないか。カフェのメニューも、普通だし……。このままではネタにならないので、さっそく館内の探索に出かけた。
6階には、宿泊客の残したゲストブックを見つけた。全部で7冊。ひとつぐらい「日本を取り戻す!!!」みたいなのがあるかと期待したが、ぜんぜん見つからない。むしろ、韓国語、中国語、英語などがビッシリ並んでいる。タイ語らしきものもある。
そう、ここは安価なゲストハウスとして、コロナ禍の前、海外の観光客に人気だったのだ。しかもハングルのあとにわざわざ日本語で、「しものせき だいすき」「本当にここが好きです。静かできれいですね」と書いてあったりする。なんたる健全さ。おそらく、かれらは安倍がどうこうなど、まったく興味もないのだろう。
ならばと、今度は2階の図書コーナーに出向いた。ここの書籍は、昭恵氏の持ち物が大半だとの情報もある。