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 コカ・コーラシステムは、「ジョージア ジャパン クラフトマン」(500mlPET)を展開するとともに、カフェを利用する20~30代をターゲットに、3月にカフェ品質を謳う「ジョージア ラテニスタ」(280mlPET)を発売し、10月には「猿田彦珈琲」監修の「ジョージア ロースタリー ブラック」(同)も投入。「ジョージア」のペットボトルコーヒーは1~8月累計で2ケタ増を達成し、存在感を高めている。

 キリンビバレッジの「ファイア ワンデイ ブラック」(600mlPET)は、常温でもおいしいと味わいが評価され、取り扱い店舗が増えたこともあり今年1~8月累計で前年比20%増と好調。

有名コーヒー専門店の監修商品が出されるなどの製品開発で、ペットボトルコーヒーは前年比から大きく拡大し続けている

 UCC上島珈琲は、コーヒー専業メーカーとして従来からレギュラーコーヒー品質のペットボトル商品を展開してファンがついている。

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 ペットボトルコーヒーはコーヒー飲料の主役になったことで、幅広い世代のニーズに応える必要が出るため、今後は容量や中味などで多様化していくだろう。

押されっぱなしの缶コーヒーの運命は…

 最近では、本格コーヒーがコンビニエンスストアやオフィスサービスなど、あらゆる場所で手軽に楽しめるようになった。また、コンビニエンスストアなどは、商品の陳列数が減って定番品が重視されるようになったため、多くのメーカーは新商品をせっかく開発しても置いてもらえないことも増えた。缶コーヒーの味覚や容器形態は、現代の嗜好や飲用シーンに合致しにくくなっている。

 では、高度経済成長とともに売り上げを伸ばした缶コーヒーは、このまま消えてしまうのか。

2019年末時点で主要メーカーの飲料自動販売機の設置台数は、コカ・コーラシステム(約88万台)、サントリー食品(約40万台)、アサヒ飲料(約28万台)、ダイドードリンコ(約27万台)、キリンビバレッジ(約21万台)、伊藤園(約16万台)、ポッカサッポロ(約8万台)、大塚グループ(約7万台) ©iStock.com

 そもそも、缶コーヒーは50年以上の長きに渡り、各社が市場活性化に向け注力してきたカテゴリーだ。他の飲料に比べて単価が高く、そして定価販売の自動販売機とも相性が良かった。「自販機ビジネス」自体の成長を支えてきたのも、ヘビーユーザーの多い缶コーヒーである。

単価が高く定価販売とも相性のよかった缶コーヒーは自動販売機ビジネス自体を支えてきた ©iStock.com

 飲みきりサイズで濃い味わいの缶コーヒーは、仕事中の短時間の休憩時にほっとひと休みし、気分転換できる価値があるため愛飲者が多い。1週間に5本以上購入するヘビーユーザーが多いのも缶コーヒーの特徴であり、コーヒー飲料市場では依然として販売ボリュームの大きいカテゴリーだ。

 加えて、「自分はいつもこの銘柄!」という固定のファンをいまなお数多く抱えている。そのため、コンビニ各社としても、定番の銘柄を自分たちの店から外せば、缶コーヒーと一緒におにぎりやパンを買ってくれていた消費者が、自分の“いつもの銘柄”を置いている別のお店に流れてしまいかねない。高度経済成長を支えたビジネスマンの活力源として存在感を持ち続けてきたブランド力は、あまりに大きい。