「神」との会話
「新解さんの謎」をご執筆下さった赤瀬川さんは、2014年10月26日に亡くなりました。もう6年たちますか。さみしいです。新解さんの七版が出た2012年1月に、わたしは神(赤瀬川さん)に電話しました。
「もしもし、神ですか?」
「はい、そうですよ」
「人間です」
「あ、人間ね」
いつもそうやって、電話します。
「(七版は)どうですか」
と、神はお尋ね下さり、「とてもいいです。活字も大きくなって引きやすいです」と、人間として答えました。
「そう、それならぼくも使ってみよう」
と、神はおっしゃり、電話でのやり取りはこれが最後でした。その後、お葉書をいただき、
「七版を使っていて、使いやすい」
と、ありました。
赤瀬川さんは、わたしの恩人です。
「恩人 危難から救ってくれたり物心両面にわたる支援の手を伸べてくれたり発奮の機会を与えてくれたりなどして、その人がその後無事・安穏に暮らしていく上に与って力の有った人。」
わたしは13歳の時から、ひたすら新解さんが好きだった。ただそれだけでここまで来た。雑誌の編集部に異動してきて、自分の一番好きな事を、一番好きな方に書いていただいた。それが『文藝春秋』平成4年7月号に掲載された「フシギなフシギな辞書の世界」です。これが後に『新解さんの謎』になる。
わたしは、ずっと新解さんを読んでいる。八版は今日買ってきたばかりだから、これからどんどん読まないといけない。大爆発物件、線香花火物件、お見事物件、風前の灯物件、要観察物件、困ったお隣さん、いろいろな物件を見つけたら、やっぱり赤瀬川さんにご報告したい。今回のこの文章は、そんな気持ちで書きました。
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