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「え、辞書って本なんすか?」
「あのー、鈴木さん。そもそもなんですが、なんでそんなに辞書を読むんです」
「だって、これ、本だから。こんなに分厚い本に、どんなことが書いてあるのかなって、気になるから」
「え、辞書って本なんすか?」
「本だよ、これは」
そうです。新解さんを見てみましょう。
「本 (一) 人に読んでもらいたいことを書い(印刷し)てまとめた物。書物」
新解さんには読んでもらいたいことが、たくさん書かれている。どこも間違っていない。辞書は本です。
「猫田君、みんな自分の知らないことを辞書で引いて、教えてもらおうとするでしょ。それが、まずダメ」
「え、ダメなんすか」
「ダメだよ。それは大間違い。自分が良く知っている言葉を引いて、自分の考えと新解さんの考えを比べてみないといけないの」
「いけないんすか」
それでは、新解さんの「つみほろぼし」を例にしてご説明します。
「罪滅(ぼ)し 何かよい行いを(少し)して、今まで重ねて来た罪のうめ合わせをすること。」
新解さんは、こうおっしゃっている。そうか、悪い事をしても、少しだけ何かいいことをすればそれでちゃらになるのか、へー、楽ちんだね、と新しい知恵がつく。素晴らしいですね。そうやって自分の(未熟な)意見と新解さんの意見をすり合わせることで、人間は賢くなれる。
「賢者 世の移り変りに盲従したり政治の表面に出たりせず、宇宙の哲理を見抜いて静かに暮らす人。」
まあ、これほど賢くならなくても、わたしはいいですけど。それに、賢者は歌や踊り、楽器の演奏はしないみたいですね。