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「地方は安全」という思い込み

「中には『ばかたれ。帰ってくるな』という意味に受け取ってしまった人もいたようですが、『苦しい胸の内を代弁してくれた』というメッセージを多くもらいました。『ポスターを見て泣いてしまった』という人もいました」と担当者。都内を中心に、東京、大手町、渋谷、池袋、新宿、横浜の6駅に3枚ずつ張り出したが、場所代が高額で経費は1000万円もかかったという。このため21日から1週間しか掲示できなかった。大阪や名古屋などにも張れなかった。

 ただし、その広島県自身も、熊本県の往来自粛リストでは3位に挙げられた「感染県」だ。「実際には、広島に帰省する方が感染リスクが高いかもしれない」と話す人もいる。

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 こうした状況に陥っているのは広島だけではないだろう。自治体の中には「もはや、全国どこでも感染リスクがある。田舎の側が都市に向かって帰省自粛を呼び掛けることで、自分達が安全だという思い込みを作ってしまう方が怖い」と話す職員もいる。

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成人式を巡る混乱も……

 混乱が生じているのは、年末年始の帰省だけではない。成人式に伴う帰郷では、このところ若者の間で困惑が広がっている。大都市部から帰ってくる新成人がウイルスを持ち込むのを恐れて、式典の2週間前に帰省しておくよう、急に求める自治体が出現し始めたのだ。

 静岡市の田辺信宏市長が「2週間前」に帰省するよう発表したのは12月15日だった。式典は1月3日に予定していたので、12月20日までに帰省しなければならなくなった。このため「5日後までになんて帰れない」「仕事があるのに休めない」などという声が噴出した。そこで市は健康管理など20の留意点を箇条書きにしたチェックリストを作製し、2週間前までに帰れなくても、式典前日に全部クリアできたら入場パスが取得できるようにした。

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 だが、同市は県から開催を再考するよう求められていた。おりしも病院や保育所でクラスターが発生するなど感染拡大の傾向が顕著になり、ギリギリの12月28日になって、オンラインでの開催に切り換えた。

 新潟市も「おおむね2週間前から新潟県内に滞在」しておくよう12月22日になって求めた。式典は1月10日に開催を予定していて、12月27日までに帰省しなければならない。「これでは出席が難しい」という人もいたようだ。市はホームページで「新たな要件(おおむね2週間前から新潟県内に滞在)で出席を見送らざるを得なくなった場合、着物レンタルのキャンセル費用の補償はありません」などとしている。