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Re:Re:Re:Re:…あなたもずっと“返信メール”で送った? 今も残るガラケーの空気とあの頃のメール

note

機種によっては付かなかった「Re:」

 そうした携帯メールの「Re:Re:」にまつわるエピソードを振り返ると、ドコモユーザーから聞く話がほとんどだ。ドコモの端末では、件名に自動的に「Re:」を挿入する仕様が標準だったからである。

©iStock.com

 実は筆者は、そういう仕様のガラケーを持ったことがない。我が家は全員J-PHONE(ボーダフォンを経て現在のソフトバンク)ユーザーだった。

 J-PHONEの場合、短文メッセージの「スカイメール」を電子メールのアドレスに宛てて送信すると、一律で件名が「Message from SkyMail」になった。返信でもこれが適用されたため、ドコモユーザーとJ-PHONEユーザーがメールでやりとりしていると、「Re:Message from SkyMail」が受信欄に埋め尽くされることになる。

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 したがって、ドコモ同士のように「Re:」が無限増殖することはない。とはいえ、こちら側の送る「Message from SkyMail」という件名も無意味な文字列であり、それはそれで不便だった。電子メール元来の設計思想に照らし合わせれば、ドコモ側のほうが正当な実装だといえるだろう。

 ちなみに、異なるキャリア同士でシームレスにSMS(電話番号に宛てる短文メッセージ)を送受信できるようになったのは、今から10年前(2011年7月)のことだ。だからこの現象は、割と最近まで続いていたことになる。

「同じ携帯」を持っている連帯感

 J-PHONEといえば、2000年以降にカメラ付きケータイと「写メール」でシェアを伸ばした。所詮は業界の3番手なので、郊外や地方の電波強度ではドコモに完敗だったが、それが逆に“都市的”というイメージにもつながり、一種のステータスシンボルであった。

カメラ付きケータイを一気に普及させたJ-PHONE(写真は2002年7月16日) ©AFLO

 iPhoneが最強のブランドとして君臨している現代では、「どこの携帯キャリアと契約しているか」なんていうのは、もうどうでもいいことかもしれない。