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「東大に入って初めて、楽に息ができると感じました」豊田真由子が振り返る“名門女子校・桜蔭時代”

豊田真由子さんインタビュー #1

2021/05/09

source : 文藝春秋 digital

genre : ライフ, ライフスタイル, 教育, 社会, 政治

note

自分の時間を全部勉強にあてられる自分は恵まれている

――感受性豊かな子だったんですね。

豊田 周囲の色んなことを敏感に感じ取って、考える子どもでしたね。小学校の同級生にすごく賢い女の子がいたんですけど、放課後は友達と遊ばないし塾にも行っていない。ある日彼女の住んでいるアパートの前を通りかかったら、その子が外で弟の世話をしながら洗濯していたんですよ。当時は教育格差なんて言葉も知らないけれど、結果的にそこで実感したんです。世の中は不平等で、自分の時間を全部勉強にあてられる自分は恵まれているんだと。その分、人の役に立てるように頑張ろうとその頃から思い始めました。

 

大学に入って初めて、楽に息ができると感じた

――中高は、女子校で唯一、高校別東大合格者数トップテンに入り続ける桜蔭中学・高校で。

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豊田 同級生の4分の1くらいは東大に進学しましたね。先に大学の話からすると、大学に入って初めて、楽に息ができると感じました。私は口に出すと恥ずかしいんですが、まっすぐ過ぎるというか、不器用なところがあって、そういうところも含めて、素の自分をそのまま理解して、受けとめてもらえたというか。特に女の子。クラス約60人中11人が女子でしたが、女子特有の怖さや嫌らしさが全然なくて、「真由ちゃんの良さは分かってるから、だいじょうぶだよ」「周りを気にしすぎ。気を遣いすぎ」と。学食にいつも集まっていたクラスのメンバーたちは、今に至るまでずっと仲が良くて、特に数人の女の子とは、家族のように信頼し合っていますね。東大に入って何が一番良かったかというと、人との出会いです。

気に入って選んだという“ハッピーフェイス”の大福

 中高の頃は、私も含めてまだ幼いですからね。桜蔭は、地域で一番の子が集まって来ているから、やっぱりみんな他人の成績とかを、すごく気にする。本当は、そんなのどうでもいいことなんですけどね。中学では定期試験で、各科目の授業中に、成績順に答案が返却されるのですが、私は昔から自分に対してとにかく厳しくて、最初に名前を呼ばれて例えば95点でも「どうしてちゃんとできなかったんだろう、ダメだなあ」と本気で反省する……今考えると嫌なやつですよね(笑)。親御さんの意向でしょうけど、色んな子のおうちに招かれて、「どうやって勉強しているの?」と聞かれました。せっかくのお呼ばれを断っちゃいけない、期待に応えなきゃ、と思うから、千葉から慣れない電車を乗り継いで、都内のあっちこっちのおうちに行って、疲れたりしてました。すごいねと言われたり、特別視されたりするのが、本当はすごく嫌で悲しかった。そして、そういう表面的に見ている人たちの感情というのは、ちょっと空気が変われば、ネガティブなものに転じかねないですよね。