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《団塊世代は2022年後期高齢者に》固定資産税に外壁や屋根の補修費… ‟負担でしかない親の家”を相続する団塊ジュニアの末路

2021/05/18
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重くのしかかる「固定資産税」に「都市計画税」

 税理士から家の評価額が3000万円と言われれば、そんなものかと思って相続するのだが、それからが大変厄介だということに、相続が完了した時点では、多くの相続人が気付いていない。

 相続人が親の家を相続して最初に驚くのが、相続したあとの翌年5月に、自宅あてに届く固定資産税評価額の通知書だ。相続をすれば当然であるが、相続人が家屋敷を引き継いでいるわけだから、土地および建物について固定資産税や都市計画税を支払う義務が出てくる。

 地方であれば、税額はそれほどの負担とはならないが、首都圏などの大都市圏郊外の戸建て住宅やマンションともなれば、固定資産税に都市計画税を加えた金額は馬鹿にならない。

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写真はイメージ ©️iStock.com

 たとえば首都圏近郊のニュータウンなどで、土地が50~60坪程度、建物が三十数坪の住宅であれば、小規模住宅用地の特例適用後でも固定資産税・都市計画税の負担は15万円程度になる。なお、この小規模住宅用地の特例とは、敷地面積が200平方メートル以下の住宅用の宅地については固定資産税が従来の6分の1、都市計画税が3分の1に軽減されるものだ。都区内のマンションでも意外と税金は高くやはり15万円から20万円くらいの税負担が発生する。

空き家・空き部屋にかかる費用の大きな負担

 しばらく使わずにほうっておくための費用として毎年15万円の負担はちょっときついものがある。戸建てであれば芝刈りや雑草取り、庭木の剪定なども必要になってくる。

 空き家にすると、敷地内にハクビシンやタヌキなど、いろいろな小動物が棲みつくこともある。こうした動物の駆除や、築年数によっては外壁の塗装や屋根の補修など、相続してしまったばかりに大変な費用を、住んでもいない空き家に関して負担することになる。

 マンションもうまく借り手がつけばよいが、空き部屋のままだと管理費や修繕積立金を毎月4万円も5万円も負担することになる。

 不動産を所有している限り、この固定資産税という税金は、相続人の都合はお構いなしに毎年「確実に」請求される。したがって、相続した家を放置しておくことは、自動的に、毎年この負担を担い続けることになるのだ。

 相続の際には、相続税額の減額について親身にアドバイスしていた税理士も、意外と固定資産税については無関心であったり、そもそもあまりよく知らなかったりする。