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西島秀俊、坂口健太郎、永瀬廉も出演!

 朝ドラにもうひとつ重要な要素は「イケメン」。女性の人生なり半生なりを描くことが多いので、視聴者も女性が多い。となると素敵な男性が出ていることが喜ばれる。

「おかえりモネ」には内野を筆頭に、西島秀俊、坂口健太郎、ジャニーズの永瀬廉と年齢層の幅広いイケメンが揃った。若手個性派の清水尋也や演劇界のイケメン・玉置玲央もいるし、ベテラン藤竜也もいる。浅野忠信もイケメン枠といっていいかもしれない。この徹底ぶりは、「なつぞら」(2019年度前期)以上かもしれない。

「なつぞら」は家族から職場まで白い歯が光るようなイケメンをずらりと揃えた上に、歴代朝ドラヒロインも揃える戦略でビジュアルに訴えかけた。1日15分とはいえ、半年間の長丁場。トータル40時間ほどある(2時間の映画なら20本分!)のでどこかでほころびや停滞が生じるのも仕方ないことである。そんなとき、見目麗しい人たちがいるだけで間が保つのである。ほら、「ガンダム」のララァも言っているではないか。「美しいものが嫌いな人がいて?」と。

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「なつぞら」ヒロインのなつを演じた広瀬すず ©AFLO

「おかえりモネ」には「明るさ」「さわやかさ」「美しさ」が揃っている。

日本における“好感度の3要素”

 先日、NHKで放送された好感度をテーマにしたドラマで、日本における好感度は「1.清潔感 2.笑顔 3.意味のあることを言わない」であると主人公が力説していた。言い得て妙なこの見解には普遍性があり、朝ドラの好感度に当てはめることも可能ではないだろうか。

 テーマめいたものを主張するよりも、ただ美しいものがそこにあるだけのほうが好感度はキープできる。たとえ作者が意味を込めたとしても、無意味で差し障りのないものがそれを打ち消していく。例えば、先ごろ惜しくも亡くなった橋田壽賀子は朝ドラ絶対王者「おしん」(1983年度)に、戦争を忘れバブル景気に浮かれる現代への批評をこめたと自身の著書やインタビューなどで繰り返し語っているが、その問題提起よりも少女のおしん(小林綾子)の健気さや大根飯や嫁いびり(この頃は嫁いびりもエンタメ感覚で消費されていた)などが話題の的だった。

 同じく、戦争孤児の成長を描く「鳩子の海」(1974年度)は主人公の離婚をはじめとして、戦争、原発など社会問題を深掘りした今思えばかなり攻めたものであったが、主人公・鳩子(斉藤こず恵)の健気さと彼女の歌う歌が人気の中心だった。脚本家の著書によると脚本を書くに当たって、社会問題の描写にはかなり慎重さが求められたようである。