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学校や教育委員会は隠蔽体質に陥るもの

 基本的に学校や教育委員会というのは隠蔽体質に陥るものです。だからこそ、今回のような「イジメの再調査」を行うための第三者委員会については、まず何より「オープン」であることが重要です。

 そこでまずは大原則として、第三者委員会の委員は『旭川市以外の方』を選ぶことが大切です。

 僕は大津のイジメ事件に関する第三者委員会に入った時、延べ56人から計95時間に及ぶ聞き取り調査を行い、今後のイジメ問題解決のモデルになるようにと、計230ページに及ぶ報告書を他の委員と一緒に作成しました。その報告書の中に、わざわざ『第三者委員会の在り方』という項目を加えたんです。そこでまず指摘したのは「委員には県外のしがらみのない人間を選ぶ」という視点でした。

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ウッペツ川 ©文藝春秋

 大津の第三者委員会にも初めのうちは滋賀県の臨床心理士会の会長が入る予定でした。その方は市教委との繫がりが弱くなく、もしこの方が委員に入ったまま調査が行われれば、調査の公正性が保てなくなることが懸念されました。最終的には被害生徒の家庭に関する個人情報を第三者に漏らしたとしてご遺族からこの人選に異議が出て、この会長が自ら第三者委員会の委員を辞める形で決着がつきました。

旭川市長はリーダーシップを発揮して、第三者委員会の改革を

 県内の人を選べば必ず被害者や加害者とどこかで何か繋がりが出てくる。そしてつながりがあれば、完全に客観的な調査などできるはずはありません。ところが、現時点で決まっている旭川の第三者委員会の8人のメンバーは、ほとんどが旭川市内にある病院の医師や弁護士、北海道内の関係者だそうですね。これでは、客観的な調査など望むべくもありません。

亡くなった公園に置かれた献花 ©️文藝春秋

 しかし、第三者委員会の人選については、市長の姿勢如何でどうにでもなる問題です。大津のイジメ事件の時は、当時の越直美大津市長が中学時代に自身がイジメを受けた経験があったこともあり、イジメには毅然とした態度をとり、必ず真実を解明するという姿勢で矢面に立って臨まれた。その結果、第三者委員会の委員の人選についても、中立性とご遺族の意思を最も重視して理想の形で進めることができたのです。旭川の市長も教育委員会に任せず、リーダーシップを発揮して、第三者委員会の人選についても抜本的に見直す必要があるでしょう。