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父が買ったパソコンを使っているうちに……

――そんな状況下でパソコンと出会う。

足澤 父が「これを使えば世界が変わるぞ」みたいなことを誰かに吹き込まれて、富士通の40万、50万するようなパソコンを買ったんですよ。

 僕が小学5年生の時ですね。どこからお金を工面してきたのかわからないんですけど。高いお金を払ってパソコン教室にも通ったけど行かなくなって、パソコンを起動したのも2回ぐらいとかで。だったら、僕が使おうって。

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 最初はパソコン本体に入っているゲームで遊ぶのが目的で。それまではダンボールをゲーム機の形に切り取って姉たちと遊んでいたので、本物のゲームができて嬉しかった(笑)。

 そのうち、お祖父ちゃんから消防団とかお寺で使う配布物をワードで打ってくれと頼まれて「パソコンを極めたらお金になるんじゃないか」とハッとして。広告にも書いていますけど、さらに「どうやったらお金を稼げるのか?」「どうやったらお金で損をしないのか?」を深く考えるようにもなったんです。

 

――小5で!

足澤 はい。で、そこからプログラミングを勉強して、高校生になったらネットでパーツを買って、パソコンを組み立てて、ヤフオクで売ってといった具合で稼ぎました。4台ほど売って、60万円くらい売り上げたんじゃないかな。

使い込まれていた奨学金

――理系少年だったわけですから、高校は高専に進まれたのですか。

足澤 行きたかったですけど、お金がなかったので、岩手県立福岡工業高校の電気情報システム科に進みました。電気工事士の資格を取る学科ですね。そこに入って大学をどうするかとなって、パソコン系の学科がある岩手県立大学を目指したんです。それで家を出て、そこに通うことに。

――奨学金で大学に進んだら、お父様が使い込んでいたことが発覚すると。

足澤 大学の時だけじゃなくて、高校時代に借りていた奨学金も使い込まれていました。高校と大学、両方の奨学金を父にやられていたという。

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写真=平松市聖/文藝春秋