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骨格の構造や筋肉のつきかたなどから姿勢が推測できる

――『ディノサン』第3~4話に登場するトリケラトプスの場合は、ネコの「香箱座り」のようなポーズでかわいく座っていますね。

藤原 骨格の構造や筋肉のつきかた、見つかった化石のポーズから、この姿勢をとったのだろうと。ヴァガケラトプスという恐竜は実際にしゃがんだ状態で見つかっています。私は過去にも恐竜イラストの監修に関わったことがありますが、「こういうの描いたらどう?」と提案してもなかなか反映してもらうことは難しい。ワンカットの絵では、座りポーズなんてなかなか出てきませんから(笑)。でも、『ディノサン』はマンガなので、いろんなカットの恐竜の動作が描かれる。さらに、トリケラトプスの「香箱座り」については木下先生が物語の鍵となるシーンとして生かしてくれています。このような形で、座っている恐竜たちの姿が世に出てくれてすごく嬉しいです。

『ディノサン』1巻より ©Itaru Kinoshita/shinchosha

――恐竜に限らず古生物の化石は、骨や歯などの硬質な部分が残りやすくて、筋肉のような軟組織が化石化する例はほとんどないですよね。そもそも、恐竜の「筋肉のつきかた」が、なぜわかるのでしょう?

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藤原 大原則として、体の主要な筋肉は、現在生きている動物と共通していたと考えられます。また、筋肉そのものは化石になりにくくても、筋肉の付着位置は骨の形からわかる。そことそこを結べば、実態からそう遠くない筋肉の復元は可能なんです。さらに、その筋肉を持つ肉体が、ある動作をおこなうときにかかる重力の方向や、動作の速度や方向、どの筋肉を使うかといったところも、計算や推測ができるわけです。

――従来、恐竜や中生代の古生物が登場するフィクション作品で、最も多くの人に知られているのが『ジュラシック・パーク』シリーズでしょう。先生としては、作中の描写をどう感じられていますか。

藤原 『ジュラシック・パーク』の第1作は、CGで恐竜を動かして映画作品として送り出したパイオニア的な作品だという点で、私も大好きなのですが、その後はリアリズムの追求を怠っている印象があって、見なくなってしまいました。『ジュラシック・パーク3』まではギリギリ見たのですが、画面的な迫力ばかり重視する方向に流れてしまっている気がする。誇張が多かったり、基本的な骨格の描写が化石に忠実ではないところが多いんです。恐竜の動きについても、実際にこんな動きをすれば大ケガだぞ? という。

――具体的にはどういう動きでしょうか?

藤原 『ジュラシック』シリーズ内ではティラノサウルスが猛ダッシュして車を追いかけたりしていますよね。でも、ティラノサウルスの大きさとあの骨格で、あんな走りかたをするには、「スーパーサイヤ人3」みたいな超ムキムキのモコモコの筋肉じゃないと難しいそうです。すでに、そのシミュレーションも行われています。また、個人的には作中のような脚の関節のつきかたで、猛ダッシュしているとアキレス腱断裂しないかハラハラしてしまいますね……。