史上初の中学生棋士である加藤一二三九段がプロ棋士としてデビューしたのは1954年。当たり前だが当時の現役最年少棋士である。そして先日、第52期新人王戦で優勝した伊藤匠四段は、現在の現役最年少棋士だ。棋士番号64の加藤から棋士番号324の伊藤まで、「現役最年少」を経験した棋士は48人いる。
永世称号有資格者はほぼ現役最年少
なお加藤九段以前は、終戦直後のごたごたもあって、はっきりとした昇段日が不明な棋士もいるし、また戦前は四段からプロという基準が現在ほど明快ではなかったので(三段以下でも新聞棋戦を指しているケースなどがある)、どこまでが最年少と言えるかは難しい。
ただ木村義雄十四世名人、塚田正夫名誉十段、升田幸三実力制第四代名人、大山康晴十五世名人の超レジェンド4名は、プロデビュー時に現役最年少だったといって問題ない。そして木村十四世名人以降の永世称号有資格者は、佐藤康光九段(永世棋聖有資格者)をのぞいて、みな現役最年少の経験がある。
「栴檀は双葉より芳し」が将棋界の常だが、歴代の現役最年少棋士がどのような実績をあげたのか、見ていきたい。
現役最年少ながらA級八段になった「神武以来の大天才」
まず、現役最年少の期間がもっとも長かったのは誰かというと、これは加藤九段がダントツである。1954年8月1日が加藤の四段昇段日だが、それ以降、加藤より年下の棋士が初めて誕生したのは1962年4月1日。高島弘光八段が四段昇段した日だが、加藤は実に7年8ヵ月も現役最年少の棋士だったことになる。