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ビル・ゲイツは「先進国は100%人工肉に移行すべき」とまで発言…日本は“脱炭素シフト”をチャンスに変えられるか

ビル・ゲイツは「先進国は100%人工肉に移行すべき」とまで発言…日本は“脱炭素シフト”をチャンスに変えられるか

2022/01/04

source : ノンフィクション出版

genre : ニュース, 社会, 国際, テクノロジー

 誰も知らない「大逆転」が日本でも密かに起きかけていた。

 2021年9月14日、東証一部上場の再生可能エネルギーベンチャー、レノバの時価総額が、日本最大の電力会社である東京電力ホールディングスを抜く寸前まで接近した。東電HDの約4853億円に対し、レノバは約4797億円、わずか50億円強の差まで迫ったのだ。

 2000年創業のレノバは、社員数がわずか238人なのに対し、東電は連結で100倍以上の3万7891人。発電規模でも、レノバの発電容量が建設中を含め98・2万キロワット、東電の発電容量は約7700万キロワットと、こちらも2ケタの差があることを考えると、この2社の市場価値が拮抗していることの驚きが伝わりやすいかもしれない。

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 これは世界で起きている「グリーン・ジャイアント」の急激な台頭が、日本にも到来したという意味で、極めて象徴的な出来事といえる。欧米では2020年以降、それまで名も知られていなかったような再エネ企業が、20世紀に君臨した石油会社など超大手企業を時価総額で抜き去る事態が次々発生した。

世界のマネーの動きが急変した

 ネクステラ(米)、オーステッド(デンマーク)といった欧米企業は、まだ再エネが「代替エネルギー」に過ぎないとされていた10年以上前からそのポテンシャルを確信し、ビジネスを抜本的にシフトさせてきた。ようやく時代が追いつき、今や本流となった地殻変動は、拙著『グリーン・ジャイアント』(文春新書)で詳細に記した。

 この背景には、新型コロナウイルス感染症による経済の停滞に加え、「気候危機」をめぐるナラティブ(物語)の共有が急激に進んだことで、世界のマネーの動きが一気に変わっていることがある。