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どこか当たり前に我慢しないといけないような雰囲気になっている

 今までインティマシーコーディネーターがいない中でも、インティマシーシーンの撮影はある程度現場ではスタッフの皆様が配慮して下さり、撮影しやすい環境作りはして頂いてきたと思いますが、ただ、その中でも必ず誰かは自分の立場やポジションを利用して、必要ない中で、中に入ってきたりするなどという事は沢山あります。

 私以外にも周りの役者さんからはこう言った話は沢山聞くので、そういった事が起きていたことは頻繁にあったかと思います。

 どこか当たり前に我慢しないといけないような雰囲気になっているのだと思います。

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 そして業界の中で俳優とは脱ぐと決めたら細かい事を気にせず、脱いで演じ切る。その様なある種の美徳があり、役者魂で乗り切り、体当たりで演じ切る事が立派な俳優だ、みたいな歪んだ捉え方、精神、概念を押し付けてくる暗黙の了解のような空気が存在していると感じていますし、実際にそういう事を言われた事もあります。

 実際に自分がこのような苦い経験をして分かったのは、苦しいのに無理をして緊張状態で頑張って撮影すると、その気持ちが作品にも映り、また、自分の心にもずっと苦い思いやトラウマが残ってしまうという事。一生懸命頑張ったその作品を自分自身が誇れない事の無念さ。

 私はこの経験を経て、これからは監督やプロデューサー、スタッフ、役者との対等なコミュニケーションと信頼し合える関係がある中で、お芝居やその他の仕事をしていきたいという事。そして自分が安心できる環境でお芝居をする事がより良い作品作りに繋がるんだなと実感しています。