――3人の年子をほぼワンオペ状態で育児していたんですね。
HISAKO そうです。3人同時に胃腸炎を発症したことがあって、その時はものすごく大変でした。出かける時は、2人用のベビーカーを押しながら、一番上の子にはベビーカーにくくりつけたつり革を握らせていました。
赤ちゃんを見ながら、歩き始める上の子も見なければいけないので、心身ともに大変でしたね。
――当時は子育てしながら助産師の仕事もしていたんですよね。年子3人となると産休や育休はどうしていたのでしょうか。
HISAKO 育休が終わったと思ったら、今度は産休に入って、次は育休って何度も繰り返してしまって。それだと職場に迷惑をかけるので、3人目を出産した後に退職しました。
5人の育児をした経験を生かして新生児訪問に従事
――年子3人の子育てをして、もうこれ以上子どもが増えるのは難しいとは思わなかったのでしょうか。
HISAKO 3人の育児をしてみて、大変な部分ももちろんあったんですが、若かったので、3人も4人も変わらないかって思っちゃったんです。0が1になるのと1が2になるのは大変だけど、3が4になるのはもう変わらんやろって。それで4人目、5人目を連続で出産しました。
30歳までに5人産んでから、仕事復帰しようという人生計画があったので、その計画通り、5人目を産み終えた30歳の時に復帰しました。5人の育児をしたことで、自分にしかできないことがしたいと思って、病院勤務じゃなくて地域に寄り添った新生児訪問に従事し始めました。
――育児をしながら、仕事でも育児に関わっていたと。
HISAKO それが自分のストレス解消になってたのかもしれないです。訪問先のご家庭でお母さんたちと話していると、みんな同じように葛藤しながら一生懸命子育てをしているんだなって逆に励まされました。
例えば「“スマホ育児”はよくない」って病院では言われるけど、時にはスマホに子守を頼んでもいいんちゃうとか。完璧なお母さんを目指さなくてもいいんだよってことを強調して伝えていました。育児本にはこう書いてあるけど、そんなの無理だよねって。
お母さんたちにはもっと心の内を打ち明けられる場所が必要だということを実感したので、その後、育児相談も受け付ける『助産院ばぶばぶ』を開業しました。