心に誓った後半人生のゴール
(最後に所属した)ロッテを辞めた後、会社を経営する父に正式にアポイントを取りました。改めて「働かせてほしい」と申し出ました。感謝の思いがあったからです。
父は僕がプロ野球選手になったことを誰よりも喜んでくれた。米国やイタリアに行くときも支えてくれた。今度は自分が恩返しをする番だ、と。
3年間をかけて、測量士補、二級土木施工管理技士、宅地建物取引士など業務に関する資格を取りました。
「組織はリーダーの力量以上には伸びない」
この言葉を肝に銘じています。人材や資金があっても、リーダーの力量次第で組織が育つか育たないか、決まってしまう。「リーダーとは、考え、ビジョン、方向性を示すことができるか」だと気づきました。つまり、「言語化できるか」。
これまでのプロ野球選手は、漠然と考えながら野球をやってきました。それを言語化したのが、ノムさん。
まずは「できるか」を模索する、動いてみる
「ID野球」と言えば野村さんの代名詞。シンプルで分かりやすいフレーズです。ID野球とは準備野球だと僕は思っています。準備野球とはプロセスを大事にすること。
「野球という競技には間合いがある。その間に準備ができる。そのプロセスを大切にしろ」と、野村さんはおっしゃった。準備こそがすべて。ビジネスでもプレゼンでも“段取り8割”と言います。
「一回もらった意見を心に落とせ、自分のパレットに入れろ。その色をすぐに使わなくても、パレットに落としておけば、いつか使う日が来るかもしれない。色々な色を持っている方が、何かを選ぶときに役立つ」
この言葉も忘れられません。さまざまな意見を否定から入らず、まず一度受け止めよう、と。わが社の2022年のコンセプトは『NONO』。「NOと言わない」という意味です。
誰かに提案をされたり、アクションを求められたとき、「できません」とは言わない。NOと言わず、まずは「できるか」を模索する、動いてみる。
野村さんが亡くなり、父の仕事を継いだ僕に目標ができました。「僕が死んだとき、ノムさんのように思ってもらえる人になりたい」。そのために、会社を率いるリーダーとして、野村さん流の「見つける、育てる、生かす」を徹底したいと思っています。