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 最後に第100番。

「文藝春秋」2016年8月号 改作

 打歩詰をどう打開するかというテーマですが、一見すると効果が分からない一手が妙手で見事に打歩詰の打開に成功します。変化にも妙手が用意されていて、19手詰ながら、かなり深く読んでいかないと正解に辿り着けません。掉尾を飾るのにふさわしい好作だと思います。

解くにはかなりの棋力が必要かも

 本作もそうですが、一旦発表された作品を見直し、改良されていることも多く、今回の100作の中でも10作以上が改良図になっています。

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 以前、谷川先生に「文藝春秋」での連載についてお話しさせていただいたとき、「担当者が詰将棋マニアなので力が入る」ということをおっしゃっていました。高品質な作品の数々は短編における『月下推敲』の続編を、という強い意識もあるのではないかと推察いたします。

谷川浩司十七世名人 ©文藝春秋

 この『谷川浩司 精選詰将棋――「光速流」からの挑戦状』を解くには、かなりの棋力が必要かもしれません。私もすべて解くのに7~8時間かかりました。

 でも、もし正解に辿りつけなかったとしても、この美しい手順はぜひ盤に並べて鑑賞していただきたいと思います。棋力の向上につながることはもちろん、詰将棋の持つ魅力を再認識されることに間違いありません。

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