「未成年への飲酒の強要や、セクハラに対して声を上げることで花街を変えたい。その気持ちは舞妓時代からありました。でも花街の誰かに相談しても『大変やな。でもこういうもんやから、あんたが我慢しよし』と言われて終わってしまう……。

 だからいつか外に出て、花街の実態を伝えようと思っていました。今、こうしてたくさんの反響をいただいて、この問題が議論されていることで、当時のつらかった自分も報われる思いです。

 一方で、改めて花街の“体質”を思い知らされたことも事実なんです」

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 そう語るのは、衝撃的な告発をツイッターに投稿した元舞妓、桐貴清羽さん(きりたかきよは・23)だ。

《当時16歳で浴びるほどのお酒を飲ませられ、お客さんとお風呂入りという名の混浴を強いられた(全力で逃げたけど)。これが本当に伝統文化なのか今一度かんがえていただきたい》(全2回の1回目)

桐貴清羽さん ©文藝春秋 撮影/宮崎慎之輔

◆ ◆ ◆

「“口止め会議”もあったようです」

 6月26日に彼女が男性客と飲酒する写真とともに投稿したツイートは、現在31万回以上の「いいね」がつき、13万回以上リツイートされている。6月28日の厚労大臣会見では、後藤茂之大臣がこの件をめぐって「芸妓や舞妓の方々が適切な環境の下で、芸妓や舞妓としてご活動いただくことが重要」との見解を示すまでに発展した。

 その影響は大きく、さまざまなメディアもこの告発の真偽を追及している。桐貴さん自身も、複数のメディアでこの件について語っている。

 告発から約1カ月――。

 SNSでは桐貴さんの告発を支持する声が大きいが、一方で花街関係者からこんな声もあがっている。

《今舞妓さん問題がいろいろと言われていますが、はっきりと言えます、個人の問題です》

《「置屋、お茶屋が舞妓にお酒を飲ませる、混浴を強いる」は全て嘘》

 この状況に、桐貴さんはこう吐露する。

「批判の声を上げていらっしゃる方のなかには、私が相談したときに『わかるー! あるあるだよねー!』なんて言ってくださっていた方もいて、正直ショックを受けています。いまや私だけが証言しているわけではないのに……」

鴨川をどりのパンフレット

 関係者によると、当の花街ではいま、「告発した舞妓ちゃんが悪いってことになっている」という。

「まず、投稿があった翌日の朝、花街では『舞妓は一般人の目があるところで飲酒せず、お茶屋の中で飲酒するように』とお達しがありました。7月5日には芸舞妓や女将さんが集められて、“口止め会議”もあったようです。置屋によっては、『お小遣いは来月から5千円にする』と舞妓ちゃんに宣告したとも聞いています。街に繰り出して、誰かと会ったりご飯に行ったりして、余計な事を喋ってこないようにと言う理由のようです」(花街関係者)