でも、シーズンが終わるごとにクローゼットを見直して定期的に断捨離するなんて、ADHDの人には向いていません。この後話すテーマにも重なりますが、先延ばししてしまうからです。だから、1個洋服を買ってきたら1個捨てるというような方法も薦めています。掃除も“ついでついで”でちょこちょこやったほうがいいですね。トイレに入るついで、風呂入るついで、といった感じで。その日の汚れはその日のうちに落とす。
――でもその“ついで”の習慣がなかなかつかないんですよね……。
中島 一度、泣きを見ると変わることもありますよ。ひどく部屋が散らかって、床中に物が散らばっているような状態になると、もう触りたくもなくなるじゃないですか。溜め込めば溜め込むほど掃除にかかる労力と時間が増えるので、手をつけるハードルが上がってしまう。
そういう経験をすれば「あんなに痛い目に遭うぐらいなら、“ついでついで”で少しずつやったほうがいいな」と身をもって知れるんです。
以前、食器洗いを溜めすぎて箸が腐ったという人がいました。その人はやっぱり「次からなんとかしないと」と思ったみたいでしたね。でも、どうしてもやる気が出ないということだったので「お箸が何膳もあるから洗わなくてもご飯が食べられちゃうんじゃない? 1膳しかなければ洗うしかなくなる」と言って、食器を全部捨ててもらいました。
――えー! すごい。
中島 洗わざるを得ない状況を作るために食器を減らす。それなら物が減って片付くし、絶対洗うので散らからなくなります。脱いだ洋服が片付かないなら、洋服を減らして洗わざるを得ない状況を作る。部屋全体を片付けたかったら、友人を家に招く約束をして、片付けざるを得ない状況を作るんです。
それから、どうしても物が捨てられない人には、「リコマース宅配買取サービス」という不用品を引き取ってくれるサービスをおすすめしています。なぜかというと、「リコマース」は申し込みの段階で引き取りに来てもらう日時を設定しなければいけないんですよ。当日になって宅配業者に「ごめんなさい」と謝って帰ってもらうのはやっぱり忍びないので、予約した日時までに段ボールに不用品を詰めることができる。この方法なら皆さん成功されますね。
究極、片付けられなくても死なない
中島 片づけができない人は、原因を自分のだらしなさに求めます。特に女性はそうですね。男性の場合は散らかっていても「仕事を頑張ってる証拠だね」と解釈されたり、「そんな細かいことはどうでもいい」と思ってもらえるんですけど、女性の場合はどんなに仕事ができても、ハードな生活をしていても、部屋が汚いとそれだけでダメと烙印を押されがちです。片付けられない悩みには、そういったジェンダー的な要素も絡んでくるんですよね。
――どうしても片付けられない人は、そういった悩みとどう折り合いをつけていけばいいのでしょうか。
中島 優先順位を見極めることですよね。引き出しの中の下着がキレイに畳まれている必要はなくて、清潔に保たれているということが最優先ですよね。次に、できればあまり皺のないシャツを着ていたい、とかね。自分の中で優先順位の高いものから、徐々に手をつけていけたらいいですよね。
身なりがギリギリ整って外に出てられればオッケーぐらいの感じで。究極、片付けられなくても死にませんから(笑)。