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のん みなさんがのんに持っているイメージと、それとは違うイメージが同居しているような役に惹かれてきた気がします。あとはのんが演じて“威力”がある役かどうか。驚きがありつつ、「のんだからこそ」という部分も感じてもらえる役ですね。

事故や震災で突然失われた命の行方を考えて

――最新作の『天間荘の三姉妹』は髙橋ツトムさんの原作漫画を読んで出演を希望されたそうですね。物語のどこに惹かれましたか?

のん 事故や震災で突然失われた命の行方を考えるという設定に惹かれました。残された人たちの悲しみに寄り添う物語はあっても、亡くなられた方々の側の目線からさまよえる魂に思いを馳せる物語というのは、これまであまり経験してこなかったので。こういうファンタジーの形もあるんだなあと興味が湧きました。

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©2022髙橋ツトム/集英社/天間荘製作委員会

――臨死状態の魂が逗留する旅館で働く、三姉妹の三女・たまえ役はいかがでしたか?

のん 自分の若さも未熟さも度外視で、誰にでも一生懸命に向き合う垣根のない性格に共感しました。たまえは物語の舞台となった三ツ瀬の人たちの思いを背負って生きていこうとする。

観客のみなさんが「前向きに生きよう」と思ってもらえるような希望を届ける映画になったと思います。自分の大切な人も、自分のことを思ってくれている。そんな風に感じてもらえたらうれしいですね。

――この映画のもうひとつのテーマは家族だと思います。のんさんにとってご家族はどんな存在ですか?

のん 無条件で自分を肯定してくれる存在かな。上京する時も気持ちよく送り出してくれたし、今もすごく応援してくれているので。けんかをする時もあるけれど、その分、安心感もあるし。嫌だと思ってもいいし、どれだけ好きだと思っても許される存在というか。

家族がいてくれるから力が湧くときもあるし、何か新しいことにチャレンジするときも、きっと家族が受け止めてくれるから、「まあ失敗してもいいかな」という気持ちでリラックスして向き合えているような気がします。

役へのアプローチはハリウッドの演技コーチから学んだ

――毎回の役作りはどのようにされていますか?

のん 現場に入る前、台本を読んだら、まず役についての事柄をノートに書き出しています。たくさんの項目があるんですが、大きくはその役の人生の目的、その目的の障害になるもの、その役のペイン(枠)の3つ。

そうすると台本がすごく読みやすくなるんです。以前、アーロン・スパイザーさんのワークショップで教わってからずっと続けていて。