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 その間、皆さんご存じ香港は、イギリスからの領土返還の際に合意されていたはずの、香港市民による高度な自治権を認められた「一国二制度」が事実上反故になりました。香港市民による民主化運動は強権的な香港警察により鎮圧させられてしまいましたが、それまで中国大陸との金融分野の玄関口として機能してきた香港は、発展を続ける上海、北京など中国本土の各都市との経済格差が縮み、海外資本の玄関口として機能させるためには香港でなければならない理由を喪失しつつあったことで、雨傘革命のような、文字通り民主主義的な要素が中国当局によって粉砕されました。

 お陰で返還したイギリスは珍しくブチ切れとなり、「だから中国は信用できないのだ」という議論から「そもそも中国を信頼したイギリスが愚かだった」という皮肉めいた自省まで、反応は様々あったのは記憶に新しいところです。

 同様に、チベットや新疆ウイグル、内モンゴルなど中国国内の少数民族への苛烈な弾圧が繰り返され、長期間にわたって行われてきたことが明らかになっています。少数民族鎮圧の手法として、ウイグル人女性らに対して懐妊できないよう強制的に避妊手術を受けさせて出生率が急減するなど、人権以前の問題ではないかとすら思うわけですよ。

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 また、中国の経済力台頭にともなって、ASEANとの間にある南シナ海へは人工島の建設などで中国による航行権の支配に近しい状況となってしまい、緊張が高まっています。

 それもあって、台湾からすればチベットや新疆ウイグル、そして香港と一党独裁から習近平個人への権力集中が進んだ中国共産党の有り様を見れば、当然「昨日の香港は今日の台湾」なのであって、台湾統一を公約としている習近平さんの動きを素直に見る限りでは、これはいずれ何か起きることを懸念・危惧して当然とも言えます。

中国の経済低迷により、日本経済にも影響が

 そんななか、習近平さんの3期15年の指導体制が固まると、いわゆる共同富裕路線による中国国内経済の統制が強まることが予想され、中国国内の株式市場や不動産市場はもとより、中国人民元も大幅な下落を余儀なくされてしまうわけであります。

 大幅な円安でどないするねんと騒ぎになっている日本円ですが、実は対人民元のレートでみると今年8月時点で1人民元あたり19.5円ないし19.8円だったのに対し、現在も20円40銭台とあまり変わっていません。つまりは、中国本土から猛烈な勢いでお金が出て行っていることを意味し、日本のように金融緩和して金利が上げられなくて円安になっている状態ではないことも加味すると、中国の経済低迷はこれから猛烈な勢いで進むことになるのではないかと懸念されます。

 日本も日本円が叩き売られて円安になった面はありますが、実需では主にLNGなどエネルギー輸入による貿易赤字とクソ低金利ゆえの「円を借りてドルに替える」キャリートレードの規模が大きいという意味で、中国のような大幅な景気低迷を見込んでの資本脱出とは状況が異なります。