「犯人は体格がよくて、男3人でも押さえられない瞬間があった」と話すのは、佐藤容疑者を取り押さえた際、スタンガンを当てられてしまった被害者の藤本さん(20代、仮名)である。

「タバコを買おうとしていると『ひったくりー!』『ドロボー!』って女性の大きな叫び声がしたんです。その後すぐに、バチバチッと異様な音がしたので振り返ると、ホテル街の方から走ってくる男がいました。女性から奪ったカバンは紐がちぎれていて、かなりボロボロになっていました」

逮捕された佐藤容疑者(FNNプライムオンラインより)

 白昼の渋谷に響いた女性の助けを求める声。雷のような激しい音。路地を激走する男。藤本さんは気づけば男を追って走っていた。

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容疑者を取り押さえた男性の告白

「(佐藤容疑者の)足は全然速くなかったんで、すぐに追いついたんですけど、先に止めようとしていた男性2人がはねのけられるほどガタイが良く、抵抗されたらまずいと上から覆いかぶさるように取り押さえました」

 佐藤容疑者はしぶとく抵抗を続けていたという。

「警察が来るまで10分くらいあったと思います。テレビやネットで拡散されている、犯人がしおらしくなっている動画は警察到着直前の1〜2分のものです。取り押さえられている間も佐藤容疑者はずっと逃走を図っていて、『どけ!』とかなんとかわめき続けていました。その内、逃げられないと観念したのか徐々に大人しくなっていったんですけど……」

3人の男性が必死になって容疑者を取り押さえた(FNNプライムオンラインより)

 後は警察に引き渡すだけ――取り押さえた男性たちも、周囲の野次馬もそう思っていた。しかし佐藤容疑者は最後の悪あがきに及ぶ。藤本さんが続ける。