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「え…こんな場所に…!?」山中にひっそり佇む…美食家が集うナゾの廃校オーベルジュ”に潜入してみた

「え…こんな場所に…!?」山中にひっそり佇む…美食家が集うナゾの廃校オーベルジュ”に潜入してみた

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次々と裏切られる“イメージ”

 冒頭でも紹介した通り、Auberge “eaufeu”はオーベルジュである。つまり、宿泊施設としてはもちろん、それ以上といっても過言ではないほど、現地食材を使った料理とドリンクに力を入れているのだ。

もともと校長室だった場所がレストランの個室になっている

 もとは校長室として使用されていた一室が現在は「個室」になっている。長さ10mは優に超えるテーブルに圧倒されながら椅子に腰掛けると、前菜が運ばれてきた。

前菜のお皿にはAuberge “eaufeu”がある観音下町の歴史ある日華石が用いられている

 この日の前菜は五郎島金時という加賀野菜のさつまいものペーストによもぎを練り込んで揚げたドーナツ、隣接する日本酒醸造所・農口尚彦研究所の酒粕焼酎で酔っ払わせて揚げたドジョウ、そして、数種類のスパイスが香る加賀蓮根のチップス。どれもが、近郊の食材を使ったもので仕立て上げられている。味はもちろん、どの料理も鼻に抜ける香りが凄まじい。

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大きなボタンエビを用いた前菜。上面のみ火を入れることで、ボタンエビのねっとりとした食感を楽しめる。あしらいには、施設周辺に自生している溝蕎麦を

 聞いてみると、シェフの糸井章太さんはハーブやスパイスを巧みに使った“香りや余韻を感じさせる料理”が得意なのだという。なんでも、農園の方ともハーブ話を通じて仲良くなるほどの、“ハーブ変態マニア”なのだとか。

 料理一品一品については、食材や調理方法、味のポイントなどの丁寧な説明をしてもらえる。普段の食事とはかけ離れた創造的な料理に緊張がはしるが、スタッフの方のあたたかい対応のおかげで不思議と落ち着いて食事を楽しめる。