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「名前を決めるのは親だけど、その人生を歩むのは子ども」キラキラネーム「王子様」から改名した男性(21)が、親の“名付け”に思うこと

赤池肇さんインタビュー#2

 2019年、親から授かった名前を18歳で「王子様」から「肇(はじめ)」に改名した赤池肇さん(21)。Twitter で「名前変更の許可が下りましたァー!!!!!!!!」(※現在アカウントは削除済み)と改名を公表するとリツイートは10万を超え、大反響を呼んだ。

 彼は、どのように元の名前で生き、なぜ改名することを決めたのか。21歳になった赤池さんに改名に至った経緯や両親の反応などについて、詳しく話を聞きました。(全2回の2回目/最初から読む)

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改名後の名前を「肇(はじめ)」にした理由

ーー改名の手続きはスムーズにできたのでしょうか。

赤池 はい、無事に受理されて、改名することが認められました。

 そこから改名許可書を住民票のある役所へ持って行き、戸籍の変更届を提出しなければいけないんですが、家庭裁判所に受理されたのがちょうど高校3年生の終わりだったので、どうせなら卒業後の方がいいかなと思って、卒業式の2日か3日後に戸籍の変更届を提出しました。学生証も変えなければいけないので、高校在学中に名前が変わると学校側も大変だろうなと思って。

赤池肇さん 撮影時期は2020年3月 ©読売新聞社

 そのあとは警察署に行って、改名したことを伝えて免許証の後ろの備考欄にその旨を記載してもらって。表面の名前を変えるのは次の更新の時みたいで、それまでは前の名前が記載された免許証を使用していました。

ーー改名後の名前に「肇(はじめ)」を選ばれましたが、その理由は何でしょうか。

赤池 高校のクラスメイトに相談したときに、友達がたまたま手元にあった倫理の教科書をパラパラとめくって手を止めたところに「貧乏物語」で知られる経済学者の「河上肇」の名前があったんです。友達も僕も「はじめって感じの顔じゃね?」としっくりきたので「肇」にしました。それに新しい名前で人生を始めるという意味にもなるかなとも思って。

自己紹介しても反応がないのが新鮮

ーー改名した時の心境はいかがでしたか。

赤池 単純に嬉しかったですね。新しい名前でこれから生きていくのかってワクワクしていました。でも最初は「肇くん」って呼ばれても、「え……。あ、俺の名前か」って感じで慣れなくて。

 大学で「赤池肇です」と自己紹介すると、特に反応はないんですよね。当たり前ですけど、それが新鮮で。高校までの友達は今でも「王子」って呼びますし、母も父も「おうちゃん」や「王子」と呼ぶので、2つの名前がある感覚です。

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