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ラグビーの日本代表選手が憧れられる存在に

 ラグビー場に足を運んだ方々に感動してもらうためには、日本代表もリーグワンもレベルの高い試合をし続ける必要があります。少子化やスポーツ離れもあり、ラグビーの競技人口、高校のラグビー部は減少傾向にありますが、19年のW杯以降、ラグビースクールに通う小学生は増えています。

 W杯でラグビーの日本代表選手が憧れられる存在になったのは大きい。加えて、ラグビーが上手いと有名大学へ行ける、一流企業に就職できるということが、特に親御さんには魅力に感じてもらえているようです。

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エディー・ジョーンズが「絶対に無くすな」と言った“文化”

 ラグビーでは、運動神経の優れたスター選手だけが輝くわけではない。地味な仕事をマジメにやりきる選手も必要だし、そうした選手は社会で活躍できる。プロ選手と社員選手が混在するハイブリッドな状態は、日本ラグビーの長所だと考えています。この企業スポーツ文化は海外でも高く評価されていて、海外から優秀な選手が日本に留学を希望する理由でもある。エディー・ジョーンズは「この文化は絶対になくすな」と言ってくれます。もちろんプロで固めるチームもあっていい。そこもダイバーシティ、多様性を持っていたい。

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 私は今年、60歳になりました。リーグワンの玉塚元一代表理事も同期で、私は同志社大、玉塚は慶大のFWで、大学4年のときに大学選手権決勝を戦った仲です。そして残念ながら2016年に癌で亡くなってしまった平尾も同期です。

 本当なら今ごろは平尾が会長になっていたはず。これまでラグビー協会の会長は名誉職的な方が多かったと思いますが、私たち現役世代が舵取りを任されたのは、変革の時代だから。平尾がいつも言っていたように、大胆に、スピード感を持って、改革していきたいと思っています。

(取材・構成 大友信彦)

◆このコラムは、政治、経済からスポーツや芸能まで、世の中の事象を幅広く網羅した『文藝春秋オピニオン 2023年の論点100』に掲載されています。