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《結婚式の1年半後に》「もう治らないということですか?」「申し上げにくいことですが……」トペ・スイシーダで四肢麻痺になったプロレスラー(58)と、介護を続けた妻(56)の31年間

《結婚式の1年半後に》「もう治らないということですか?」「申し上げにくいことですが……」トペ・スイシーダで四肢麻痺になったプロレスラー(58)と、介護を続けた妻(56)の31年間

2023/01/08
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「将来的には再生医療の分野で研究が進み、常識が変わるかもしれません」

 競技中の事故などによって、脊髄を損傷するアスリートは多い。彼らの一部は「懸命なリハビリによって競技に復帰した」と伝えられることもあるが、それは損傷が軽度だった場合である。背骨の中を通っている脊髄神経が完全に切れてしまうと、歩行訓練やリハビリによって運動機能が復活することはない。ここに一般世間の大きな誤解がある。

「頚椎(けいつい)や頚髄(けいずい)、脊椎(せきつい)、脊髄(せきずい)など、似ている言葉がたくさんあり、骨の名前(椎)と神経の名前(髄)は混同されやすい。脊髄神経を損傷した場合には、私のように一生、車いすの生活を余儀なくされます。ただ、多くの人はそのことを知りません。現状、治療法がないということがあまり知られていないため、ケガに対する危機意識も薄いように思います」

「OHKスーパーニュース」より

 プロレス界では近年、片山と同様の事例が起きている。著名な選手である高山善廣や大谷晋二郎が、試合中に脊髄を損傷したのは記憶に新しい。だが、彼らの体に起きていることが、ファンに正しく理解されているかどうかは分からない。

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「だからといって絶望しているわけではありません。脊髄損傷のことを1人でも多くの人に正しく理解してもらうことによって関心を持つ人が増えれば、将来的には再生医療の分野で研究が進み、常識が変わるかもしれません。私はそのことに期待しているのです」(片山)

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