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「自分には何が足りないのか?」「人って何なんだろう?」…東出昌大(35)が“怒涛の5年間”で考え続けて辿り着いた“答え”

東出昌大インタビュー#2

2023/03/04
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 今でも僕の周りには週刊誌の記者さんやテレビマンが出入りしています。でも裏切られるとも思わないし、もちろん僕のほうも彼らを裏切ろうとか利用しようなんて全く思っていない。そういうことを考えながら生活をするのもつまらないし、人としてそうなっちゃいかんという気持ちもあるので。

――近年、出演作は途切れず続いています。東出昌大という役者のニーズをご自身ではどう捉えていますか?

東出 うーん……(※数十秒の長い沈黙)。十分に出来ているかどうかはさて置いて、切実に取り組んでいるとは思います。「芝居って何だろうか」「どうすればこの監督の良い素材になれるだろうか」を。常に自分なりに考え続けてはいますので。「あいつ、俺の現場に来て、一生懸命やろうとしているじゃないか」と見てもらえているんじゃないか、と自分では思いたいですね。

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©深野未季/文藝春秋

今、東出が惹かれている作品に共通する“特徴”

――最近の東出さんは「人が社会とどう繋がっているか」を描いた作品に続けて出演されているという印象を受けます。

東出 そうですね。僕自身、右か左かといった社会性を伴うような主張は何もありませんが、そうした作品に惹かれているのは確かです。

 昨年、『天上の花』という出演作の舞台挨拶で、プロデューサーさんが「これは一部でDV映画と言われているけれど、DVを賛美した映画ではない」とおっしゃった。僕はその時、僭越ながら「公開討論をするつもりはないけれど、DVを賛美する映画があってもいいし、戦争を賛美する映画があってもいいと思う。お客様がご覧になって、『これは違うよね』と各々で考えるべきだ。だから僕は今後もあらゆる作品に出たい」と言いました。映画でも本でも、文化にはひとつ「新しい視座を提示する」という役割があると思う。今、そこに強く興味があることは確かです。

 世の中で上がるいろいろな声をただ焚き付けるのではなく、そうした声や自分の問題と根本的に向き合えるきっかけを提示したり、心の苦しさやきつさを救うのもメディアや映画、芸術の役割だと思うし、それが文化であるはずだと僕は思うので。今後も意義のある作品に出演することで、どなたかの心のお力になるようなきっかけ作りにかかわることが出来ればうれしいです。

撮影=深野未季/文藝春秋

ヘアメイク=AMANO

スタイリング=檜垣健太郎

INFORMATION

映画『Winny』は2023年3月10日(金)TOHOシネマズほか全国公開
公式HP:winny-movie.com 
Instagram:winny_movie_official
Twitter: @winny_movie
<本予告>https://youtu.be/qGBtaIPNbuM

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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