この春からより強烈になった「綾瀬」の“トラップ”
ただ、そんな便利な綾瀬の町と、それを生み出した千代田線も、すべてがハッピーというわけではない。
いま、北千住~綾瀬間は東京メトロの中でいちばん運賃がお安い区間として知られている。ICカードを使って146円だ。というのも、この区間は運賃計算上“常磐線扱い”。だから、常磐線、すなわちJRの運賃にあわせている。そのまま北千住駅でJR線に乗り換えてたとえば上野駅まで行った場合は、すべて常磐線に乗ったという扱いで運賃も計算されるシステムだ。
ところが、北千住駅でのJRと地下鉄の乗り換えが実にやっかいだ。地下と地上の乗り換えだから仕方がないのだが、さらにマンモスターミナルということもあって手間がかかる。
そこで西日暮里駅で乗り換えて、となる。すると、この場合は北綾瀬~西日暮里間は常磐線扱いではなく地下鉄扱いになってしまう。運賃も北千住乗り換えと比べて高くなってしまうのだ。
この千代田線・常磐線乗り継ぎ問題、綾瀬~上野間で計算すると以前まではICカード利用で差額は105円だった。ところが、この春からの“初乗り10円値上げ”のおかげで、いまでは115円に増えている。
常磐線だけの扱いの北千住乗り換えでは初乗り1回、西日暮里だと初乗りが2回という計算になるからだ。これが綾瀬以東、たとえば亀有から計算すると、北千住乗り換えだと初乗り1回の230円、西日暮里乗り換えだと初乗りが3回の391円。差額はなんと161円になってしまう(値上げ前は141円)。
いや、別にこれはルール通りなのだし、いまさらどうこういうつもりもないんですけど、日常的に使う人にとってはなかなかバカにならないのではなかろうか。
のどかな下町という雰囲気を持ちつつ、それでいて活気もあって利便性も高い……。そんな綾瀬の駅は、そうした相互直通運転の利便性の“影”を教えてくれる駅でもあった。やっぱり、今年の春はいろいろ値上がる時代なのである。
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