都市型選挙へのシフトで予想される自公へのダメージ
また、公明党と維新は、もともと政策的には水と油の存在であって、亡くなられた浜四津敏子さんのように、人権と平和を尊重した穏やかな左派的主張がトーンとして根付いているものもあり、これは競争と活力による改革を志向する新自由主義ど真ん中の維新が掲げる政策主張とは隔絶しているのも事実です。公明党関係者も維新も「本質的には考え方は合わない」という両組織を相互理解と実益とで融合させていたテーマこそ、大阪都構想だったわけです。
さらに、衆議院は今回の選挙から議席数が地方で減り、都市部で増える「10増10減」が実施されます。自民党が地盤として持つ安倍晋三さんの山口県や二階俊博さんの和歌山県など、地方の議席が減ることで、10減のうち実に7議席ないし8議席が何もしなくても自民党から失われます。つまり、地方から都市型選挙へ日本の政治環境は徐々にシフトしていっています。
小選挙区25議席から新しく5議席が増えて合計30議席になる東京都を筆頭に、都市型選挙区から選出される議員が増えることになれば、自民党も公明党もこれらの都市部での得票をどう議席につなげていくのかという死活問題に繋がっていくのです。
都市部の議席をめぐって与党内部で利害衝突も…
民主主義の制度は、その国に住まう国民が平等であることが憲法で認められた大原則ですから、選挙区の違いによる一人一票の格差を是正することは憲法問題に直結するものです。
私も、地方が人口減少するのならば都市部の議員が増えていくことは当然必要なことだと思いますし、今後もその流れは加速していくことでしょう。地方の高齢化した住民の権利を守るために、都市部に住む子育て世帯のサラリーマンの一票の価値を減らせっていう理屈はよく分かりませんし。経済成長を維持するのは都市部である一方、高齢化が進む地方から選出された議員が幅を利かせることで、現役世代に多大な負担をかける社会保障問題の改革は望めなくなりかねません。
なので、公明党が抱える若めで最優秀な議員である岡本三成さんや山本香苗さんなど次世代を担う議員を衆院都市部で担わせたいと考えるのも当然のことです。一方、自民党もそもそも10減で地方の議席が減るダメージを都連を中心にして回復させたいということで、同じ与党でも利害関係が衝突することになります。