みんな、結構簡単に「衰退を受け入れろ」とか言うじゃないですか。

 しょうがないじゃないか、と。まあそれはそうなんですが、しかし人口減少による衰退を明確に表す報道も増えてきましたよね。

 先日、NHKが「日本郵便とヤマト運輸 メール便などで協業へ 物流ひっ迫に対応」と報じるなかで、岸田文雄政権がそのまま継承している働き方改革2024年問題は物流業界のトラック運転手さんの超過勤務への対応が背景にあるって書いておられまして。

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 トラックを含む物流業界自体がブラック過ぎたからね。これは対策を打って当然ですね。

日本郵便とヤマト運輸 メール便などで協業へ 物流ひっ迫に対応 
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230619/amp/k10014103741000.html

写真はイメージです ©AFLO 

これってドライバーさんだけの問題なの?

 ヤマト運輸など、業者側の説明で「制度が変わり、ドライバーさんの確保やコスト面での問題が起きたので、かつて敵だった勢力と手を組むことにします」とするのは、嘘ではないと思うんです。

 ついに、思い切った決断をしたな。そう思ったのは、私だけじゃないと思います。

 小口荷物の輸送という「宅急便」を立ち上げたクロネコヤマトが郵政界隈と悶着を繰り返し、かねて日本郵便とメール便による「信書」問題で長年の対立を続けてきたのは頻繁に出てくる事案ですからね。分かります、分かります。

 でも、これって運送するためのドライバーさんだけの問題なんでしょうか。

 私がひっそり棲息する産業廃棄物業界では、ドライバーさんの働き方改革だ24年問題だというのは、もちろんドライバーさんの超絶過酷な労働環境をどうにかしようという事情も大きいと思います。ただ、こういう件は、むしろ「地方都市や地方経済の人口が減り過ぎて、需要が少なくなったので、ドライバーさんを増やすための値上げができません」という話なんですよ。

地方が沈んじゃったのでね、仕事がないんですよ

 地方では特に需要が少なくなって、値下げしても荷物が集まらないぐらい、地域で暮らす人が減ってしまったのです。ゴミが減ったんですよ。ゴミを出す人自体が減ったから。

 でも、産廃の流通に携わる事業者の数は減らない。昔ながらの産廃輸送を担う老舗もあれば、そういうところで勤めて、トラック1台で独立する猛者もいる。

 値上げどころか、荷物を集積させる中間処理場まで無料で運びますとか、他のお客さんと混載でいいから安くするんでお願いしますとか、そういうレベル。やめろや。安売りすんな。

 地方が沈んじゃったのでね、仕事がないんですよ。

 でも、移動する距離はそう変わらない。人が減ったから、最終処分場が近くなりました、なんてことはあり得ないわけです。そのぶん、トラックの輸送距離も、そのトラックを転がすドライバーさんの数も必要であることは同じです。だからこそ、少なくなった荷物の量で、いままで通りドライバーさんを雇わないといけない業界構造になると、みんな沈む。そんなことは物流にちょっとでも関わっている人たちからすれば当然理解をしていることです。