人間よりも大きなパックマンや、NHKからの依頼で「タモリさんの人体模型」を作ったことも…日本唯一のレゴ認定プロビルダーとして、海を超えて活躍する三井淳平さんインタビュー第2弾。

 三井さんが語った、30年を超えるレゴ歴のなかで「特に印象深い作品」とはいったい?(全2回の2回目/前編を読む)

日本を代表するレゴのプロに「特に印象深い作品」を教えてもらった ©杉山秀樹/文藝春秋

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初めて人に見せることを意識した「ドラえもん」

――これまで手掛けた作品のなかで、特に印象深いものはなんですか?

三井淳平(以下、三井) まず、高校3年のときに作った等身大の「ドラえもん」(2005)は私にとってのマイルストーンです。

 初めてきちんと人に見せることを意識した作品ですし、大きい作品を作る際に生じる“強度”の問題を解決するために、試行錯誤を繰り返しました。内部の骨組み部分もレゴブロックで組んだのですが、一時はうまくいったとしても、次の日には崩れ落ちてしまう可能性もあるわけです。大きな作品を作るためには、強度も必要だと学びました。

 強度がらみで言えば、制作に8万ピースを要した「パックマン」(2015)も大変でしたね。高さ3メートル、重量1トンのパックマンを新宿の街に置くという試みで、24分割したものを現地に運んで組み立てました。

制作中のパックマンの様子(画像:三井淳平さんのYouTubeより)

――ここまで大きいと、見ている人も圧倒されますね。

三井 2017年に作った「ショベルカー」も、分割のノウハウをさらに深めることができた印象深い作品です。ラスベガスで開催される世界規模の建設機械展に展示するためのもので、ディテールにこだわりつつ、組む段階からどう分解、分割して運ぶかを考えました。

 もともと私はエンジニアなので、細部まで「モノとしての正しさ」を表現することで、リアリティを追求しました。たとえば、クローラーと呼ぶ足回りの部分は、1枚1枚板を用意してから、チェーンパーツを組み合わせたりして作るようにしました。

ショベルカー(写真:本人提供)

――三井さんの場合、骨組みや土台、原理原則のような部分を大切にされていますよね。

三井 ものづくりは外側ではなく、まずは骨格から意識して作らないと「嘘」になってしまう気がして。ショベルカーのような機械だけじゃなく、レゴブロックで生き物を作る際も骨や筋肉の動きを調べた上で挑みます。

――パックマンやショベルカーなど、さまざまなオファーがあるなかで、特にチャレンジングだと思ったものはありますか?