視聴数で集計する新しいランキングでは、総視聴時間は短いけれども視聴者が多く、これまで隠れていた日本アニメの人気を浮かび上がらせた。そして、その筆頭が『範馬刃牙』だったのである。
『範馬刃牙』のようなメガヒットが登場することで、Netflixを始めとする配信プラットフォームと日本の制作者の関係も今後、変わってくるかもしれない。
ひとつは制作予算、あるいは配信プラットフォーマーからの制作会社への支払い金額だ。日本アニメと並ぶ米国のドラマシリーズの予算は各話数億から10億円以上、シリーズで100億円超えという作品もある。またNetflixは韓流ドラマに年5億ドル(約700億円)以上投じているという。
1話を作るコストがドラマの10分の1?
一方の日本アニメはどうだろう。1話が20分から30分の長さであるとはいえ、金額は1話数千万円から、一般的には5000万円の金額ならかなり高いほうだ。時間単位で考えても、日本アニメはまだ安い。費用対効果がかなり高い番組だ。これが今後どう変化するかだ。
Netflixだけでない。データを明かさない他のグローバル配信プラットフォームでも、日本アニメはよく見られているはずだ。そうなると次に起きるのは、日本アニメの囲い込みだ。現在、日本アニメの制作本数がかつてなく増えている背景にはこうした事情があると言っていい。
さらにNetflixのランキングを各国別で見てみると、日本アニメは欧米よりもアジア、ラテンアメリカなど新興国で人気が高い傾向がある。グローバルな配信会社の現在の経営の最大の懸念は成長鈍化、契約者数の伸び悩みだ。
そのなかで未開拓で成長が著しいアジアを中心とした新興国市場での契約者獲得が注目されている。より力をいれなければいけない地域で人気のコンテンツとなると、今後はさらに日本アニメへのニーズが増すこともありそうだ。