「酔っている人がいなくて楽しくない」

  今年、渋谷区がハロウィーン対策費に投じる予算は約4790万円。「渋谷はハロウィーンイベントの会場ではありません」「ハロウィーンの渋谷は、ゴミ箱でも、ナンパ場でも、灰皿でもありません」などと、日本語と英語で注意喚起を促す広告を10月中旬から渋谷駅周辺に掲示している。

 また昨年と同様、混雑が予想される10月28日と31日には駅周辺のコンビニなど35店舗に酒類販売の自粛を要請し、ハロウィーン期間内の5日間には例年問題となっている「路上飲み」も規制。

コスプレをしてはしゃいでいる様子の外国人。センター街のど真ん中でクラブミュージックが鳴り始めると、幼い女の子を連れた女性が踊り始めた ©文藝春秋 撮影・上田康太郎

「渋谷だと酒が買えないみたいなんで、わざわざテキーラとワインを最寄りから買ってきました。でもやっぱり去年よりも酔っている人がいなくて楽しくないですね。立ち止まったり座り込んだりってだけで警察に注意されます。コスプレしてる人も少ないしもうこの後は六本木でも行こうかなと思います」(20代男性ラッパー)

ADVERTISEMENT

 さらに今年の渋谷は交通面でも規制が厳しい。待ち合わせの恒例スポットともなっているハチ公銅像の周辺を閉鎖するだけではなく、人の出入りが激しいJR渋谷駅のハチ公口までも使用禁止。宮益坂へと続くガード下までバリケードを張るなどした。

全身コスプレではなく、被り物だけといった控えめの仮装も目立った ©文藝春秋 撮影・上田康太郎

「友達と待ち合わせがあって急いでいたのに(国道)246号からスクランブル交差点に来るまでに渋滞が起こっていて本当に困りました。タクシーの運転手さんももう今日は渋谷に近寄りたくないって嫌そうな感じでしたね。帰りは山手線を使うんですが、今日は南口のほうしか使えないってSNSで見たので終電だけは逃さないようになるべく早めに帰ろうかと思ってます」(30代バー経営の男性)

 センター街での路上立ち止まりや撮影なども例年以上に厳しく取り締まりが行われて、職務質問を受ける人の姿も見受けられた。